2011年5月18日水曜日

【北朝鮮】 暗躍するスパイ

【産経】
なお暗躍する北スパイ わざわざ成田でバイト 貿易ルートで情報送信?
2011.5.12 02:00

 北朝鮮との不正貿易の捜査で浮かび上がったのは、いまなお暗躍する北朝鮮の工作員の影だった。11日、自宅から在日米軍の関連資料が押収されたことが明らかになった貿易会社元代表の金成鳳容疑者(47)。住み慣れた大阪を離れ、わざわざ成田空港で航空貨物を取り扱う会社でアルバイトをしており、北朝鮮国家安全保衛部の幹部とともに、貿易ルートを利用したスパイ網を構築、情報を北朝鮮に送っていた疑いも浮上している。
 関係者によると、金容疑者は平成13年に大阪市生野区に「東亜貿易」を設立。主に北朝鮮との輸出入を手がけ、18年11月に北朝鮮へのぜいたく品の輸出が禁じられた後も取引を続けていたという。
 東亜貿易は、不正輸出の捜査が始まった時期の21年12月に解散。男は千葉県内に移り、週に1~2回、成田空港で貨物の仕分けなどのアルバイトをする不自然な行動をとっていた。

義父の梁大由容疑者(65)は外食チェーン運営会社の実質オーナーで、男が生活に困ることはなかったとみられ、捜査関係者は「最初から在日米軍の郵便物を狙った可能性もある」と指摘する。
 一方、これまでに摘発された不正輸出事件の多くで関与が認められるのが「厳光哲(オムグァンチョル)」と呼ばれる国家安全保衛部幹部だ。経済産業省がミサイル開発への関与の疑いがあるとしてリストに掲載している貿易会社の社長も兼ねているとされる。
 これまでの警察当局の捜査で、「厳」は中国・大連にある朝鮮労働党経営のレストランに日本の取引先を招いて接待を繰り返し、物資の調達やさまざまな情報収集を行わせていたことが判明しているという。
 金、梁両容疑者が「厳」と面識があることは一緒に写った写真で明らかで、特に梁容疑者は「厳」と写真中央に並んでいたという。この2人の指示で金容疑者が工作活動を行い、貿易ルートをスパイ網として活用していた疑いがある。
 ただ、「在日米軍」の情報を収集していた理由は不明だ。北朝鮮がらみのスパイ事件では、昭和25年から約10年間は在日米軍に関する情報収集が主な任務のひとつになっていたが、その後は対韓国工作や日本人拉致に変遷している。
 しかし、近年は米国が北朝鮮への圧力を強めていることから、公安当局関係者は「米国に対抗するため、米軍の情報収集に力を入れ始めた可能性もある」と分析している。

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