2011年5月20日金曜日

「67年に戻る必要ない」イスラエル首相、米大統領案を拒絶

【産経】2011.5.20 09:44

18日、エルサレムで会見するイスラエルのネタニヤフ首相(ロイター)

 【カイロ=大内清】イスラエルのネタニヤフ首相は19日、オバマ米大統領が中東政策に関する演説で、将来のパレスチナ国家とイスラエルとの国境線をめぐる交渉は1967年の第3次中東戦争以前の境界線に基づくべきだとの考えを示したことについて、「67年に立ち戻る必要はない」と拒絶する声明を出した。

 AP通信などによると、声明でネタニヤフ氏は、ヨルダン川西岸から完全に撤退し67年以前の境界線に戻った場合、「国の安全を守ることができない」などと主張。パレスチナ側が将来の首都に想定する占領地東エルサレムを手放す考えはないことも強調した。
 一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長は、近くパレスチナ解放機構(PLO)幹部らと会合を開き、オバマ大統領の演説の内容を検討して今後の対応を決めるとしている。

米大統領、イスラエルに譲歩要求 67年境界線尊重を 
2011.5.20 09:01 (1/2ページ)

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 19日、米ワシントンの国務省で中東政策に関する演説を行うオバマ大統領(ロイター)
 【ワシントン=犬塚陽介】オバマ米大統領は19日、米国の包括的な中東政策に関して演説し、民主化の波及で中東は「歴史的な機会」を得ていると称賛した。中東和平交渉の再開の必要性にも言及し、将来的なパレスチナ国家の国境線は、イスラエルが占領地を拡大した1967年の第3次中東戦争前の境界線に基づくべきだと強調した。占領地からの撤退につながりかねない内容にイスラエル側は反発している。
 米国の大統領が67年以前の境界線に立ち返る必要性に言及したのは初めて。
 イスラエルが第3次中東戦争後に占領・併合した地域には東エルサレムやヨルダン川西岸などが含まれており、入植が進んで中東和平交渉の障害の一つとなっている。
 イスラエルのネタニヤフ首相は、占領地の返還につながるオバマ大統領の発言はイスラエルを「防衛不能にする」と反発。ネタニヤフ首相は20日、ホワイトハウスでオバマ大統領と会談する。
 一方、オバマ大統領はパレスチナ側にも慎重な対応を要求。自治政府のアッバス議長が今年9月の国連総会で、パレスチナ国家の加盟承認を画策する動きを見せたことについて「イスラエルを孤立させる象徴的な行動」と批判した。

イスラエルとの武装闘争を続けるイスラム原理主義勢力ハマスとアッバス議長が率いるファタハの和解合意も疑問視し、「ハマスが恐怖と拒絶の道を主張する限り、パレスチナ指導層が平和と繁栄にたどり着くことはない」と語った。
 民主化デモの弾圧が続くシリア情勢では「アサド大統領には選択肢がある。民主化への移行を主導するか、立ち去るかだ」と暴力の停止と改革の促進を強く迫った。イエメンやバーレーンの指導者にも、民主化を求める勢力との対話に応じるよう求めた。
 オバマ大統領は中東に広がる民主化機運を歓迎。言論や集会、信仰の自由、法の下での男女平等や自由で公平な選挙の実施など「普遍的な権利」を支援していくことを表明した。
 米軍によるウサマ・ビンラーディン容疑者殺害は国際テロ組織アルカーイダに「大きな打撃を与えた」と強調。ビンラーディン容疑者は「殉教者ではない。憎しみのメッセージを発し、イスラム教信者に武器を取るよう強要した大量殺人者だ」と切り捨てた。

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