2012年8月12日日曜日

自衛隊は「サイレント・マジョリティー」の信頼に応えろ

自衛隊は「サイレント・マジョリティー」の信頼に応えろ

2012.8.11 18:00 (1/5ページ)[名言か迷言か

 陸上自衛隊第1師団第1普通科連隊(東京都)が7月16、17の両日、首都直下地震を想定し、練馬駐屯地から都内各区役所まで迷彩服で駆けつける訓練を実施した。今後も続発するかもしれない震災に備え、必要不可欠と思われるその訓練に対する一部の新聞の事前報道に強い違和感を覚えた。
 「迷彩服姿で区役所『宿営地化』」「自衛隊 首都制圧?」
 こんな旧態依然でステレオタイプな自衛隊悪玉論に基づく見出しが躍ったのだ。陸自幹部もこれには「首都制圧なんて…。とてもそんな考えはないのに」と肩を落とした。
 新聞だけではない。練馬駐屯地では市民団体を名乗る数十人が出発する隊員に「人殺しの訓練をやめろ」「自衛隊は基地に帰れ!」などと罵声を浴びせた。
 第1普通科連隊は6月にも隊員約20人が迷彩服姿で都内市街地で歩行訓練を行ったが、このときにも隊員たちは同じようなシュプレヒコールを受けた。だが、これらの新聞や「市民団体」は大多数の国民の声を代弁しているとは思えない。
 内閣府が3月に公表した世論調査では、自衛隊に好印象を持つ人は91・7%と過去最高だった。自衛隊による東日本大震災の被災地での奮闘は、ほとんどの国民に感銘を与えている。訓練に批判的なのは、いわば「ノイジー・マイノリティー」(うるさい少数派)にすぎないはずだ。

 にもかかわらず、いろんな場面で自衛隊は萎縮しすぎていると感じる。

 4月に北朝鮮が長距離弾道ミサイル発射した際、政府は沖縄に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を配備した。ミサイル落下から沖縄県民を守るためだったが、沖縄の地元紙は「軍事優先色が濃い対応は沖縄社会にとってマイナス面が多い」「心穏やかでない気持ちを抱いている」などと報じ、自衛隊への警戒感ばかりを強調した。

 長年、日本社会の「鬼っ子」扱いを受けてきた自衛隊側がこれを意識しなかったわけがない。自衛隊は発射当日に早速、撤収計画を手際よく発表した。陸自幹部は「自衛隊増強の地ならしとか思われないための措置だった」と振り返る。

 また、部隊派遣の際の対応も極めて抑制的だった。陸自が住民救助のための隊員派遣を当初案の約750人から約400人に削減したのは、沖縄の意向を忖度(そんたく)したからだ。途中ではさらなる圧縮案も示され、これに君塚栄治陸上幕僚長が「任務に必要な人数にしろ」と指示したのは、ミサイル落下から県民を守る万全の態勢を敷くためだ。

とはいえ、陸自幹部はこう本音を漏らす。

 「750人は決して多すぎるわけではない。400人で運用するにはギリギリの人数だった」

 今回、各区役所に展開した第1普通科連隊は東京23区の災害派遣や防衛を担う部隊だ。いざ首都直下地震が起きれば彼らが大いに力を発揮し、国民の生命・財産を守ってくれることを国民は期待している。自衛隊は騒音に惑わされず、「サイレント・マジョリティー」(静かな多数派)が寄せる信頼にこたえ自衛隊の正義を堂々と貫いてほしい。(峯匡孝)

◇…先週の永田町語録…◇

(6日)

 ▽臨戦態勢

 玄葉光一郎外相 衆院選は遠くない時期にある。地元で自分のポスターをずっと張っていないが、さすがにお盆の時に時間を取って、ポスター用の写真を撮ろうかなと思っている。(衆院解散の時期について講演で)

 ▽二兎を追う

 山本一太自民党前参院政審会長 二兎(にと)を追っている。消費税増税法案をすんなり通し、衆院解散もせずに長期政権を目指す。これは決してうまくいかない。(野田佳彦首相に対し会見で)





(7日)

 ▽邪道

 一川保夫民主党参院幹事長 邪道だ。確約してくれだとか、はっきりしてくれという言い方で迫ること自体が理解できない。(野田佳彦首相に衆院解散を確約するよう求める自民党について記者会見で)

 ▽無駄な時間

 江田憲司みんなの党幹事長 よく「衆院解散・総選挙をすることで政治空白が生まれる」と言うが、野田政権が続いていること自体が政治空白だ。無駄な時間だ。(記者会見で)

(8日)

 ▽それはそれ

 自見庄三郎国民新党代表 政策は政策、解散は解散。それはそれ、これはこれだ。自民党は野党といえども長い間、責任政党だったのだから、憲政の常道に従って行動してほしい。(党会合で)

 ▽席を用意

 内山晃新党きづな代表 野田政権が自民、公明両党と手を組むとは予想できなかった。民主党はさらに分裂含みになる。(離党者受け入れのため)うちも席を多めに用意しておかないといけない。(記者会見で)



(9日)

 ▽聞くだけやぼ

 輿石東民主党幹事長 2人だけでやった会談の中身を「何を話したのですか」なんて聞くだけやぼだ。私どもは野田佳彦首相を信じている。(民主、自民党首会談の内容について記者会見で)

 ▽飛び入り参加

 岸田文雄自民党国対委員長 民主党の内紛、夫婦げんかの結果である内閣不信任決議案に飛び入り参加し、ドタバタ騒ぎに加担するのはいかがなものか。(不信任案の採決に棄権した自民党の対応について派閥会合で)

(10日)

 ▽切ないテーマ

 野田佳彦首相 国民に負担をお願いすることは、政治家としてはなるべく避けたい、逃げたい、先送りしたい切ないテーマだ。(社会保障と税の一体改革関連法成立について記者会見で)

 ▽反射神経

 渡辺喜美みんなの党代表 見えたら即やる態勢は整っている。反射神経の問題だ。ずれて遅くなればなるほど準備万端整えられるが、国民から見たら早期解散が正しいやり方だ。(衆院解散・総選挙について記者団に)

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