【朝鮮日報】2011/12/27 09:25
日本が中国国債を購入、中・日の狙いは何か
円と人民元による決済の拡大へ
野田首相は中国国債の追加購入にも言及
「日本が中国国債の購入を決めたことは、人民元国際化の重要な契機だ」
中国の人民日報は、26日付で中国を訪問した日本の野田佳彦首相と温家宝首相との首脳会談について報じ、日本政府が中国国債の購入を決めたことを高く評価した。中国はすでに日本を抜いて世界2位の経済大国となっているが、人民元建ての中国国債を保有している国はモンゴル、ナイジェリア、マレーシア程度しかなく、この点はプライドに傷が付いているようだ。
日本が購入する中国国債の額は最大100億ドル(約7800億円)で、日本の外貨保有高(1兆3000億ドル=約101兆3000億円)に占める割合はわずか0.77%だ。しかし人民日報は日本による中国国債の購入について「日本は自国にとって最大の貿易相手国である中国に対し、中長期的には楽観的な見通しを持ちながら、同時に支援を表明したものだ」と解釈した。
日本政府による中国国債への投資は、米国に対する不満を表明したものでもある。日本は外貨保有のおよそ70%を米ドルが占めているが、円高ドル安によって日本企業の輸出競争力低下と、保有するドル価値の下落という二重の損失を被っている。世界一の外貨保有高を誇る中国も、日本の国債購入に積極的だ。
日本と中国は両国企業が貿易を行う際、ドルではなく人民元と円を直接使用する機会を増やすことでも合意した。ドルレートの変動に伴うリスクを最小限に抑え、取引に伴う費用も削減するためだ。
日本は中国に国債購入という手土産をもたらしたが、日本が実質的に手にしたのはパンダの貸与程度だ。野田首相は中国政府に対し、津波で被害を受けた住民のため、仙台動物園に2頭のパンダを貸与するよう要請した。
首脳会談では尖閣諸島の領有権問題や東シナ海のガス田問題、北朝鮮による日本人拉致問題などでは認識の差が浮き彫りになった。しかし一方で韓中日3カ国の自由貿易協定(FTA)の早期推進、韓半島(朝鮮半島)情勢安定化の必要性、6カ国協議の早期推進などでは、原則的に一致した。
【読売】2011年12月26日07時48分
首相、中国国債購入を表明…まず390億円規模
北京で25日夕に行われた日中首脳会談で野田首相が中国国債の購入を表明した。
中国政府が進める通貨・人民元の国際化を支援するのが狙いだ。通商分野では、日中韓の自由貿易協定(FTA)について、来年早期の交渉入りを確認したものの、経済連携の進め方を巡る認識の違いも浮かび上がった。
会談で中国の温家宝首相は「中国は両国通貨の金融市場での発展推進を希望する」と述べ、日本が中国国債を買う方針を歓迎した。
日本政府が、人民元建ての中国国債を購入すれば、保有の動きが各国に広がり、人民元の国際化を後押しする効果が期待できる。中国側はすでに日本国債を保有しており、持ち合うことで協力関係を強める。
日本政府は、為替介入の資金を管理する外国為替資金特別会計(外為特会)に積み上がった外貨を使って中国国債を購入する。購入額は当面5億ドル(約390億円)規模とみられる。
中国から日本への証券投資は増えており、2010年末の国債を含む投資残高は、10・5兆円だ。一方、中国は、本土外からの投資に厳しい制限を課しており、国債に投資ができる外国政府・中央銀行は、オーストリア、マレーシアやシンガポールなど数か国に限られていた。野村資本市場研究所によると、中国国内の外資系銀行が保有する中国国債残高は全体の約0・9%に過ぎない。
日中両政府は、円と人民元を直接交換する市場の整備や、日本企業による人民元建て債券の発行支援などで合意。財務省や金融庁、日本銀行と、中国人民銀行などが、作業部会を設置し、具体策を話し合う。中国で省エネルギーを進める企業を支援する日中共同の省エネ・環境ファンド(120億円規模)の設立も決めた。
【ブルームバーグ】12月27日
政府が世界2位の外貨準備を積極活用、国際金融分野で存在感発揮
政府は、世界第2位の規模にある外貨準備の積極的な活用に乗り出している。中国国債への投資申請手続きを進めることで同国と合意したほか、インドとの間では緊急時に米ドルを融通し合う通貨スワップ協定をまとめる見通しだ。世界経済での相対的な地位では陰りもみえる中、国際金融の分野で存在感を発揮している。
財務省によると、日本の外貨準備高は、11月末現在で前月比948億8100万ドル増加し、1兆3047億6300万ドル(約100兆円)になった。今年10月31日に実施した円売り・ドル買い介入(9兆916億円)が要因で、過去最大となった。世界では中国にぐ2番目の規模。
政府は増加する外貨準備を活用し、インドとの間で米ドルの通貨スワップ協定の締結へ向け最終協議に入っている。外貨が不足する事態に陥った場合に、ドル資金を相互に供給するのが目的だ。野田佳彦首相が27日からの訪印で、合意にこぎつける見通し。政府関係者によると、規模については100億ドル(約7800億円)程度で調整している。
一方、先の首相訪中では、日本の外貨準備を活用した中国国債への投資申請手続きを進めることで合意。このほか、米ドルを媒介通貨として取引されている両国通貨の直接交換の拡大などでも一致した。今回の中印との案件では、各国それぞれの思惑も背景にある。中国は人民元の取引利用を拡大し、インドは自国通貨下落に伴う金融リスクに備える狙いがある。
JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「日本が今、世界でみて、プレゼンスがいろいろ低下していく中で、何がまだ世界の中で存在感を示せるかといえば、世界第2位の外貨準備だ」と指摘。世界1位の対外純資産なども含め、こうした「日本が持っている残された力」を活用することで、「世界の通貨の安定にも役立てる」との見方を示した。
IMF支援
このほか、政府は、政府債務危機に直面している欧州に対する国際通貨基金(IMF)の支援についても、外貨準備を活用するなどして協力する方向で準備している。政府関係者は、欧州が自ら危機対応策を示せば、日本も支援を決定するとの方針を明らかにしている。
安住淳財務相は9日の閣議後会見で、欧州債務問題をめぐるIMF支援について、「一番大事なことはEUがどのような結論を導くかに尽きる。それを横においてIMFで何とかするという順番にはならない」と述べ、EUが自ら課題を解決する前に支援に踏み出すことはないとの認識を明確にした。
危機に際しての保険
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のインド部門、クリシルのムンバイ在勤エコノミスト、ダーマキルティ・ジョシ氏は、日印通貨スワップ協定について、危機に際しての保険のようなものだと指摘。ドル不足の際には効果を発揮するとの見方を示した。
日本はかねてアジア各国への金融支援に力を入れてきた。1998年に表明された、いわゆる「新宮沢構想」では、アジア通貨危機に見舞われた域内各国の経済回復や金融安定化に協力するため、総額300億ドル規模の支援を実施した。
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