2011年12月25日日曜日

金正日の娘、ヨジョン

【朝鮮日報】2011/12/25 09:34
【萬物相】金総書記の娘

「君、アウトバーン(高速道路)が閉鎖されたという話を聞いたか」
「いや。アウトバーンがなぜ閉鎖されるんだ」
「そんなことも知らないのか。エッダ・ゲーリングが歩き始めたからだ」。

1939年ごろ、ナチス政権下のドイツで流行したジョークだ。
ヒトラーの後継者とされていたヘルマン・ゲーリングが、娘をどれだけかわいがっていたかということを風刺したものだ。

ゲーリングが歩き始めたばかりの娘の安全を図るため、車道を通行禁止にするほどだったという意味だ。
父親に溺愛されたゲーリングの娘は生まれながらにしてスターだった。
当時、ドイツ全域の文房具店で、ゲーリングの娘をモチーフにしたはがきが売られた。


ナチスの権力者たちも、ほとんどは家に帰れば優しい父親だった。
「ナチスの中のナチス」として悪名を轟かせた親衛隊(SS)の大将ハインリヒ・ヒムラーは、欧州各地にユダヤ人強制収容所を設け、ガス処刑や生体実験によって数百万人のユダヤ人の命を奪った張本人だ。

ところが、娘と一緒にダッハウ強制収容所を訪問した際には、娘にハーブ畑を見せ、詳しく説明するなど、家庭的な一面を見せた。娘が「鉄条網の内側にいる人たちは誰なのか」と尋ねたところ、ヒムラーは「政治犯や凶悪犯だ」と答えたという。

1千万人以上を虐殺した旧ソ連の独裁者スターリンもまた、一人娘のスベトラーナを「小さなスズメ」と呼んで溺愛した。自宅でパーティーが開かれると、スベトラーナはいつも女主人のような扱いを受けた。ソ連の国民はスベトラーナを「姫」と呼び、自分の娘に「スベトラーナ」と命名する人たちも続出した。さらに「スベトラーナ」という名前の香水も登場し、人気を博した。

金正日の娘、ヨジョン氏とみられる女性が正恩の後ろに黒い喪服姿で立ち、弔問客を迎える様子が、22日朝の新聞に掲載された。金総書記は、3人目の妻・高英姫(故人)の間に生まれたヨジョン氏を、食事の際に自分の左隣に座らせ「ヨジョン姫」と呼んでかわいがった。


 ヒトラーは子どもがいなかったためか、犬に愛情を注いだ。「ブロンディ」という名のシェパードと一緒に食事したり、寝たりしていた。独裁者たちが国民の生命や幸福には見向きもしない一方、娘やペットに愛情を注ぐ精神状態を、どう説明すればよいだろうか。スターリンの娘スベトラーナは後に米国へ亡命し、父親を否定する人生を送り、最近死去した。

ゲーリングの娘エッダは「ほかの人たちが悪人だっただけで、私の父はまともだった」と語った。金総書記の娘ヨジョン氏は、自分の父親が世界に類例を見ない共産主義世襲独裁を実行に移し、数百万人の人民を飢え死にさせた事実を知ったら、果たしてどう答えるのだろうか。

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