2011年11月2日水曜日

PKO決定の南スーダン 治安、病気との闘い

【東京新聞】2011年11月2日 朝刊
 PKO決定の南スーダン 治安、病気との闘い

【ロンドン=小杉敏之】国連平和維持活動(PKO)で、陸上自衛隊の施設部隊を派遣することが一日に閣議決定された南スーダン。七月九日にアフリカ五十四番目の国家としてスーダンから独立し四カ月近くが経過した。だが、今も反政府武装勢力による襲撃が続き、陸自部隊が活動する首都ジュバから離れた地域では治安情勢に大きな不安もある。

 二〇〇五年まで二十年以上続いた内戦は、南スーダンを疲弊させ道路や電気などのインフラ整備は遅れたままだ。日本政府は内戦終結後、無償資金協力でジュバ周辺のインフラ整備を進めてきたが、本格的な整備は今後の課題になる。

 陸自派遣で懸念されるのは、まず南スーダンの治安問題。北部の国境に近いユニティ州マヨムでは先月二十九日、反政府武装勢力と政府軍の戦闘が起き、市民十五人を含む約七十五人が死亡したとされる。ジュバ北方約百二十キロにあるジョングレイ州では八月、家畜の盗難をめぐって二つの部族間の衝突があり約六百人が死亡したと伝えられ、その後も衝突が発生している。

 治安が安定しているジュバでも国連南スーダン派遣団(UNMISS)幹部が滞在先ホテルで警官に暴行される事件があった。

 南スーダンはUNMISSの仲介などで反政府武装勢力と和解を進める。だが、スーダンとの国境にある産油地帯アビエイ周辺には複数の武装勢力が残存、政府軍との交戦が絶えない。産油地帯の国境画定が未解決なため、原油利権をめぐるスーダンとの関係悪化も懸念材料といえる。

 また、熱帯特有のマラリアに感染するケースも多く、十分な医療体制が整っていないジュバでの活動は病気との闘いでもある。

 南スーダンのキール大統領は先月九日、スーダンのバシル大統領と共同会見を開き「われわれが内戦に戻ることはない」と強調。しかし、両国とも、国境付近を拠点とする反政府武装勢力を支援していると非難し合っており、治安安定までには時間がかかりそうだ。

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