2011年11月2日水曜日

南スーダン支援 意義深い陸自PKOの国造り

 ナイル川上流西側に点在する南スーダンの首都ジュバに陸上自衛隊がやってくる。第1次派遣施設部隊が五月に到着しても、4月~9月が雨期に入り舗装工事はほとんどできないだろー

 2012年年明けに派遣される先遣隊200名は、今後5年間活動する宿泊等の陸上自衛隊の拠点造りが主な任務だ。12月中に閣議決定される「実動計画書」で判明するだろー

 南スーダンの首都ジュバにある空港は、大型機の着発が不可能なので南隣のウガンダ・エンテベ国際空港を利用することになる。

 エンテベ空港から、ジュバまで直線で約545km。実際は600km以上の道のりを道路状況から、重機の運送は時速20km/h程度である。

 外務省は、ウガンダ北部と北東部に対して、「渡航延期」の危険情報を発令中で、陸上自衛隊でも細心の注意が必要である

〇_アフリカ大陸における陸自のPKO実績

■国連モザンビーク活動(ONUMOZ)
司令部要員 1993年5月~1995年1月 1年9ヶ月間 5人 延べ人数10名
・ONUMOZ司令部における中長期的な業務計画の立案並びに輸送の業務に関する企画及び調整

輸送調整部隊 1993年5月~1995年1月 1年9ヶ月間 48人 延べ人数 144名
・輸送手段の割当て、通関の補助その他輸送に関する技術的調整


■ルワンダ難民救援
ルワンダ難民救援隊1994年9月~1994年12月 四ヶ月間 260名  ・医療、防疫、給水活動

空輸派遣隊 1994年9月~1994年12月 四ヶ月間 118名 
・ナイロビ(ケニア)とゴマ(旧ザイール、現コンゴ共和国)の間で、ルワンダ難民救助隊の隊員や補給物資などの航空輸送
・能力上の余裕を活用して難民救済を実施している人道的な国際機関などの要員、物資の航空輸送


(11月2日付・読売社説)

日本国防衛大臣・一川保夫は、1日(火)午前、首相官邸において閣議で、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への陸上自衛隊施設部隊の派遣方針を決めたことを受け、午後1時10分の防衛会議で、統合・陸海空の各幕僚長らに対し、派遣準備に入るよう指示した

 陸上自衛隊が部隊単位で、アフリカ大陸へ派遣されるのは、1990年代前半のモザンビーク(1年四ヶ月間)とルワンダ(四ヶ月)での活動以降、約17年ぶりである

 スーダンでの国連平和維持活動(PKO)参加は、2005年の南北内戦和平以来の懸案だ。

施設や輸送ヘリの部隊派遣を検討したが、治安の悪さなどを理由に見送られ、わずか司令部要員2人の派遣にとどまっていた。南スーダンに平和を定着させることは、アフリカ全体の安定につながる。国際テロ対策としても重要な任務と言える。

 UNMISSには既に、57か国から5600人以上の軍事要員や文民警察官が参加している。資源確保に熱心な中国も、施設、医療部隊約370人を送っている。

 陸自の海外活動は、規律ある、手堅い仕事ぶりで評価が高い。道路の補修は、活動中のハイチPKOも含め、多くの実績があり、陸自の得意分野と言える。

 今回の派遣を、日本が再び国際平和協力活動に積極的に取り組むための転機としたい。

 日本は従来、南スーダンに対し、職業訓練施設の整備、教員研修などの政府開発援助(ODA)を実施してきた。陸自の活動をより効果的にするため、ODAによる社会基盤整備を組み合わせて、相乗効果を図ってはどうか。

 陸自派遣には課題もある。

 6~9月の激しい雨期には活動が制約される。

 北部の国境付近では最近、政府軍と反政府組織による軍事衝突が発生している。紛争地域から数百キロ離れたジュバ周辺の治安は安定しており、日本政府は、現行の武器使用基準のままで問題はない、との立場をとっている。

 南スーダンでの陸自の活動は長期間に及ぶ可能性が高い。治安情勢の変化も想定して、正当防衛などに限定された武器使用基準を緩和し、任務遂行目的などの武器使用を可能にすべきだ。

(2011年11月2日01時16分 読売新聞)

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