2011年8月14日日曜日

戦後66年 政治の「脱貧困」をめざせ(8月14日付・読売社説)

明日8月15日、66回目の「終戦の日」を迎える。

3・11の東日本大震災を境に、戦後の「平和と豊かさ」は大きく揺らいでいる。だが、このような危機の局面においてこそ、激動の昭和史から学ぶべきことも多いはずである。

 現在使われている「復興」という言葉には、成功した「奇跡の戦後復興」のイメージが重なる。もっとも、今の日本に終戦時のような安堵感や解放感はない。震災から既に5か月を経たが、復興への歩みは遅れている。この国難を乗り越えていくためには、強力な政治のリーダーシップが求められる。しかし、今日の政治の劣化は深刻だ。

 「政治の貧困」という点では、むしろ戦前との共通点も少なくない。昭和初期の1920年代後半、政友会と民政党の2大政党は激しい政争を繰り返した。政治に対する国民の信頼が失われ、政党政治は崩壊した。

 30年代には10人が入れ替わりで首相を務めた。軍に押され、戦争への流れを止められなかった。戦後、長く続いた自民党政権は行き詰まり、国民は2年前、民主党に政権を託した。

 しかし、子ども手当などに象徴される財源を欠いた民主党の人気取り政策は、次々と破綻した。政権運営の未熟さへの失望感が広がり、政治不信は深まっている。民主党政権でとりわけ懸念されるのは、国家の基本となる政策の軸が大きく揺れることだ。菅首相は、唐突に「脱原発依存」を提唱し、混乱を招いた。

 戦前・戦後を通じて、資源エネルギー戦略が、国家の浮沈に大きく関わっていたことを忘れてはならない。

 エネルギー戦略の失敗

 1941年7月、旧日本軍は蘭印(オランダ領東インド、今のインドネシア)の石油資源などを狙って南部仏印(フランス領インドシナ)に進駐した。反発した米国は対日石油禁輸の制裁措置をとった。当時、日本は石油輸入の90%を米国に依存していた。禁輸措置は日本にとって大きな誤算で、日米開戦の伏線ともなった。

 戦後は、石炭産業に資金を集中的に投入してエネルギー不足を補い、復興の足がかりとした。その後の石油への転換と原子力発電の導入で経済は大きく発展した。

 2年前には、鳩山首相が温室効果ガスの排出量を「2020年までに1990年比で25%削減する」と国際社会に公約した。十分な議論もなく国際公約したこと自体に問題があったが、温室効果ガスを大胆に削減するなら、火力発電を減らし原発依存を深めることが大前提だったはずだ。

 しかし、今や温室効果ガスの問題は、忘れ去られてしまったようだ。大切なエネルギー問題が、その時々の「空気」で決められるようなことがあってはならない。

 軍は「責任回避の楽園」

 震災後の被災地の人々の冷静沈着な行動は世界の称賛を集めた。各国は、救助隊や医療チームなどを被災地に派遣して、温かい支援の手を差し伸べてくれた。

 一方、原発事故への対応と情報開示をめぐる政府の混乱は、国際社会の不信と批判を招くことにもなった。日本の「政治の漂流」ばかりが際立っている。

 菅政権は当初、閣僚らをメンバーとする、被災者支援や原発対応などの対策本部やチームを次々と設置した。だが、各本部の責任や権限は明確でなく、政府内でいくつもの指示や情報が錯綜(さくそう)して、各府省を混乱させた。

 さらに、首相の指導力不足と、場当たり的で稚拙な政治手法が野党側の協調機運を阻害した。与野党連携は失敗し、政争が復興に向けた体制づくりの足を引っ張ることになった。

 読売新聞の「昭和時代」の連載で、山内昌之・東大教授は「軍人たちは非常に曖昧な責任回避の楽園にいた」と指摘している。

 例えば、日米戦争の転換点となった42年6月のミッドウェー海戦は、日本海軍の司令長官や参謀長が大局を見誤ったために空母4隻を失って大敗した。しかし、敗因は分析されず、司令長官らの責任も問われなかった。この「責任回避の楽園」の愚を繰り返してはなるまい。

 政治の責任が厳しく問われている今、「政治の貧困」から脱することこそ急務だ。首相退陣後は、まず与野党が結束し、震災復興を強力に進めていくべきである。

(2011年8月14日01時21分 読売新聞)

【中国国際放送】

 米、オバマ大統領の指導力への不信感が広がる

2011-08-13 16:02:52 cri [A A A]

 経済回復への見通しが立たないことや高い失業率で、アメリカには、経済が再び衰退に陥るのではないかという懸念が広がっています。その中で、オバマ大統領の指導力が疑われ始め、再任が危ぶまれるのではという空気が広がっています。

 アナリストは「選挙まで後1年3ヶ月あるが、経済の低迷、国民の政治機能への憂慮から、オバマ大統領の政治家としての前途は楽観視出来ないだろう。特に、国債上限の交渉の難航、国債格下げなどで、アメリカを復興に導く力があるかどうか多くの国民がオバマ大統領を疑い始めるようになった。」と指摘しました。

 最近行われたアンケート調査の結果によりますと、オバマ大統領の支持率は4割前後に留まっており、先月より5ポイント下がりました。73%のアメリカ人は「アメリカは誤った軌道に乗ってしまった」と見ています。

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