2012年3月12日月曜日

3.11大震災から1年 大規模工事これから


3.11大震災で被災した空自松島基地では、滑走路の周囲に4キロ以上の応急堤防が築かれた(3月2日)


【朝雲】3/8日付
3.11大震災から1年 大規模工事これから 
多賀城など陸空自施設 津波も想定し防潮堤

被災した陸自仙台、多賀城両駐屯地と空自松島基地もいまだに完全復旧には至っていない。

プレハブ庁舎で業務続ける

 仙台駐屯地(司令・高橋勝夫東北方幕僚長)は大震災で大小180棟の建物のうち北東地区を中心に48棟が何らかの被害を受けた。建物の軽微な補修は各方面隊から派遣された技官延べ27人の支援を得て今年度内に完了する予定だが、建て替えなどの大規模工事はまだ手つかずだ。

 最も大きな被害を受けた東北方面後方支援隊と宮城地本援護センターが入居する庁舎は、昭和43年建築の鉄筋コンクリート造3階建て。柱が崩れ上層階の重みで1階がつぶれそうになり建て替えることになった。新庁舎は同じ場所を予定しているが、現在、業務は隣接区画の2階建てプレハブ庁舎で続けている。一部損壊した木造の駐屯地医務室などが入る新庁舎も訓練場の一つをつぶして造成、25年度に完成予定。

 多賀城駐屯地(同・國友昭22普連長)は仙台塩釜港から最短距離で700メートルほどに位置し、震災時は津波で建物の多くが床下、床上浸水した。水が引いた後もタール状の汚泥が長く敷地内を埋めていた。現在はグラウンドに集められ、3月中に撤去される予定だ。東北補給処多賀城燃料支処が利用している海軍工廠時代の倉庫群は壁が崩れるなどの被害が出て、隣にプレハブ倉庫を設置して業務を続けている。

 同駐屯地では津波対策として庁舎用のエアコン室外機を地面より高い位置に設置したほか、庁舎前の道路を1メートルほどカサ上げして防潮堤の機能を持たせる案も検討している。

 松島基地(同・谷井修平4空団司令)は津波でF2戦闘機など航空機28機と基地施設の大部分が冠水した。このためF2の戦闘機操縦課程訓練を三沢、11飛行隊「ブルーインパルス」の飛行訓練を芦屋、築城各基地に移動させており、現在松島に残るのは基地隊員約1100人のうち約半数だ。

 同基地では地盤沈下による北上運河からの流水を防ぐため石巻湾側の滑走路周囲4・3キロに1トン土のう4万4000個を使った応急堤防を昨年11月までに設置したのをはじめ、滑走路用ライト、200ボルト用変電設備(キュービック)、T4用ネット式バリアの設置、津波対策として駐機地区の高台化、格納庫の水密化などを順次予定し、T4は25年春、F2は修理済みの実機が入る27年度以降に訓練再開を目指している。

0 件のコメント: