2012年1月27日金曜日

【フィリピン】 国内の基地に米軍の駐留を検討

【産経】2012.1.26 22:40
 フィリピンー米、中国にらみ関係強化、基地使用の運用策検討に着手

【シンガポール=青木伸行】26日、フィリピン軍事筋は、同国内の基地を米軍が使用し艦船を配備することなど、同盟関係を強化する具体的な運用策について、米政府と検討に入ったことを明らかにした。艦船や海兵隊による南西部パラワン島の使用などが、俎上(そじょう)に上がっている。パラワン島周辺では3月中旬にも、両国海軍による合同軍事演習が実施される。

 運用策の検討は、南シナ海などにおける中国の海洋覇権拡大に対処し、アジア・太平洋地域で米軍事力を強化する一環。両政府は艦船、哨戒機、海兵隊などについて配備、駐留の対象と規模、場所を検討している。

 このうち、パラワン島にはフィリピン海・空軍基地があり、南シナ海に面し、中国と領有権を争う南沙諸島に近い。パラワン島の南にあるバラバク島を将来、潜水艦基地とし米軍に“開放”する構想も、フィリピン側の一部にはある。

 ただ、フィリピン世論には、新たな基地協定を締結し、米軍駐留を固定・制度化することへの抵抗感が依然、存在する。このため両政府は、米軍がフィリピン軍の基地を“間借り”する形を取り、既存の(1)米比相互防衛条約(2)訪問米軍に関する地位協定(VFA)(3)相互補給支援協定(MLSA)-を汎用(はんよう)する方向だ。

米紙ワシントン・ポスト(25日、電子版)は、艦船や部隊を定期的に交代することや、合同訓練の強化も検討していると報じた。

 オーストラリアのダーウィンに米海兵隊が駐留し、シンガポールに最新鋭の沿岸海域戦闘艦(LCS)が配備されることから、フィリピンにおける米軍の運用策が決まれば、対中シフトはさらに強いものとなる。

 フィリピン政府はまた、警備艇、哨戒艦など装備の調達計画リストを米側に提示しており、米国の装備供与も順次、進むとみられる。

 一方、パラワン島周辺での合同軍事演習は、石油・天然ガスの掘削施設を防衛するという想定。米側から艦船、航空機多数、要員500人以上、フィリピンから1千人以上が参加する大規模なものとなる。

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