2011年12月2日金曜日

【岳南鉄道】 2012年3月末、貨物輸送が廃止




【読売】2011年12月2日

岳南鉄道(吉原―岳南江尾駅、9・2km)の貨物輸送が、来年3月末で休止となる見通しであることが1日、わかった。

同鉄道の貨物を引き受けて全国へ運ぶ「連絡運輸」について、JR貨物が休止方針を変えていないためで、岳南鉄道の貨物輸送はこのまま廃止となる可能性もある。


 同鉄道は1950年4月から貨物輸送を行っており、吉原駅でJR貨物に貨物を引き渡す連絡運輸が、輸送の要となっている。

 しかし、JR貨物は2010年9月、同駅での連絡運輸を12年4月から休止する方針を岳南鉄道に伝えた。同鉄道はJR貨物との交渉を重ねたが、11年初めには正式な通知が届き、その後の交渉でもJR貨物の方針は変わらなかったという。

 背景には、貨物輸送量の低迷がある。

 岳南鉄道の貨物輸送は、1969年度にピークの99万8600トンに達したが、製紙会社の生産量減少やトラック輸送への移行などで、2010年度はピーク時の6・4%に過ぎない6万4400トンに激減した。

 現在、同鉄道の貨物輸送を利用しているのは、富士市内に吉永工場を持つ日本大昭和板紙(東京)1社のみ。JR貨物は吉原駅での連絡運輸休止に伴い、同駅での貨物の取り扱いも休止する方針のため、日本大昭和板紙は隣のJR貨物富士駅までのトラック輸送を試験的に始めている。

 貨物輸送の休止は、岳南鉄道の経営に深刻な影響を与えそうだ。

 貨物輸送は鉄道事業の収入の約4分の1を占めている。同事業の赤字は年間5000万円前後に上り、11年3月期は6200万円に達した。貨物収入の4300万円(11年3月期)がなくなると、赤字幅の拡大は必至だ。

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