10月18日(火) リビア首都トリポリ 5時間30分滞在
10月19日(水) アフガニスタン首都カブール
10月21日(金) 欧州財務相会合
23日(日) 欧州首脳会議
24・25日スイスのジュネーブ
北朝鮮の核問題をめぐる米朝高官協議
米代表団・ボズワース
デービース国際原子力機関(IAEA)担当大使
北朝鮮 金桂寛第1外務次官
【産経】2011.10.20 07:13
【宮家邦彦のWorld Watch】
中東と東アジアは繋がっている
米国が中東で戦争を戦いながら、東アジアで抑止力を維持できる時代は終わりつつある
ワシントンに出張してきた。出発前はウォール街占拠デモ拡大や米成長率見通し下方修正など先行き不透明なニュースばかり。しかし、ワシントンは予想以上に元気だった。
やはり、ここは普通の「米合衆国」とは違うようだ。
1980年代に街にあふれていた失業者やホームレスは見かけなかった。街の3大産業である連邦政府、観光、ロビー産業は健在。ただし、空港近くのオフィスビルがガランとしていた。あの空き部屋はいずれ中心部にも押し寄せるだろう。
今回は中東関係者を中心に会ってきた。誰もがアラブ諸国の混乱を心配していた。パレスチナもイスラエルも政権が弱体化し、和平プロセスに出口は見られない。
エジプトとトルコの離反の可能性を深く憂える声も聞いた。
シリアだって今後どうなるか誰にも分からない。
イラクからの米軍撤退期限は本年末に迫っている。このままでは力の真空をイランが埋めることは必至だ。しかも、米軍は早晩アフガニスタンからも撤退する。中東地域はいずれ核武装したイランに直面することになるだろう。その時米国は何を求められるのか。
10月11日、米上院は人民元切り上げ加速を求める対中制裁法案を可決した。最近はワシントンに来るたびに対中懸念が高まっていくように感じる。
今回は中東関係者までが対シリア制裁安保理決議案に拒否権を投じた中国を厳しく批判していた。
西太平洋の海洋権益をめぐる米中対立は不可避なのだろうか。9月中旬にはインドの国営石油会社がベトナムと合弁で南シナ海における開発を始めると発表した。下旬には日本とフィリピンが「海洋分野」の協力に合意した。
ふと次のような仮説を思いついた。
・過去10年間に米国は中東で2つの戦争を戦ったが、その間東アジアで中国が台頭したため、最近米国政府の関心がようやく西太平洋に戻ってきた
・しかし、米国経済の停滞は当面続き、米国が全世界規模で2つの戦争を同時に戦えない状態は続くだろう
・したがって、今後中東で再び米国が関与せざるを得ない戦争が起きれば、これを最も歓迎するのは中国である
・他方、そうした戦争が中国のエネルギー供給を脅かすことになれば、これを最も忌み嫌うのも中国である
・東アジアでは誰も戦争を望んでいないが、誤算による意図しない不測の事態が発生する可能性は高まるだろう
・今後は中東と東アジアの安定を維持するため、米(海)軍という限られた公共資産の争奪戦が始まる可能性がある
・万一、米国が衰退する中で対中東・東アジアの政策調整に失敗すれば、米国はいずれか一方の地域を失う可能性すら出てきた
日本は、米国がこれ以上中東地域で戦争を戦わず、その抑止力を東アジアの安定に集中させるため、国家としていかなる戦略を持つべきか真剣に考える必要がある。
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