2011年10月14日金曜日

会計検査院法第36条の規定による意見表示

会計検査院法第36条の規定による意見表示
平成23年10月13日会計検査院



会計検査院は、平成23年10月13日、防衛大臣に対し、会計検査院法第36条の規定により、意見を表示しました。
「一般輸入により調達する部品等の予定価格の算定等について」
全文(PDF形式:204KB)


http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/23/pdf/h231013_zenbun_2.pdf


会計検査院法
第36条会計検査院は、検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。




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【意見を表示したものの全文】
一般輸入により調達する部品等の予定価格の算定等について
(平成23年10月13日付け防衛大臣宛て)
標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。

1 一般輸入調達の概要
(1) 一般輸入による調達
貴省は、装備品及び役務(以下「防衛装備品」という。)の調達を行っている。防衛装備品の調達は、国産品について国内製造会社等から行う調達と、輸入品について外国から直接又は輸入業務を行う企業(商社及び国内製造会社。以下「商社等」という。)を通じて行う調達(以下「輸入調達」という。)とに区分される。さらに、輸入調達には商社等を通じた輸入(以下「一般輸入」という。)による調達(以下「一般輸入調達」という。)と「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」(昭和29年条約第6号)等に基づくアメリカ合衆国政府からの有償軍事援助(Foreign Military Sales)による調達とに区分される。
そして、一般輸入により防衛装備品を調達するに当たり、調達業務を実施している装備施設本部(平成19年8月31日以前は装備本部、18年7月30日以前は契約本部)、各自衛隊の部隊等(以下、これらを合わせて「調達実施機関」という。)は、商社等を通じて外国製造会社又は外国販売代理店(以下、これらを合わせて「外国製造会社等」と
いう。)から見積資料を提出させ、これに基づき予定価格を算定し、入札を実施するなどして、商社等との間で輸入品等売買契約等を締結している。

(2) 一般輸入により調達する部品等
調達実施機関が一般輸入により調達する部品等は、各防衛装備品を設計した外国製造会社が当該装備品を製造又は修理するために作成した図面において指定している交換用のものであり、各自衛隊が制定した要領において輸入調達に限定されている。そして、当該要領において、部品等の品名、番号、製造している外国製造会社等を指定しており、各自衛隊は調達要求元として、当該要領に基づき必要の都度、調達実施機関に対して調達要求を行っている。
また、一般輸入により調達する部品等は、おおむね、各防衛装備品を設計した外国

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製造会社のみが製造しているもの(以下「独自品」という。)と、規格が標準化されていて複数の外国製造会社で製造されているもの(以下「標準品」という。)とに区分される。独自品は、販売代理店契約を締結するなどした特定の商社等に取扱いが限定されている。一方、標準品は、一般輸入の場合、販売経路を確立している外国販売代理
店から商社等が仕入れを行っている。

(3) 一般輸入調達における予定価格の算定方法
国の物品購入等の契約における予定価格は、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号。以下「予決令」という。)の規定により、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況等を考慮して適正に定めなければならないとされている。そして、貴省は、一般輸入により調達する部品等の予定価格については、予決令の規定によるほか、調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令(昭和37年防衛庁訓令第35号。以下「算定基準訓令」という。)の規定に基づき、仕様書、契約方式その他の契約条件等を基に算定することとしている。
ア品代の計算
算定基準訓令等によると、輸入品の計算価格の計算項目は、品代、輸入手数料、販売直接費等とされており、輸入品に特有の通関等の輸入に関する費用を除くと国産品と同様の計算項目となっている。このうち、品代については原則としてCIF価格によることとされており、商社等を通じて提出された、外国製造会社等が発
(注1)
行した見積書のCIF価格等を審査して算定している。
また、算定基準訓令等によると、国産品の品代については、手数料等を含むものは、その額を控除することとされているのに対して、輸入品の品代については、CIF価格等としているのみで、手数料等に関しては規定されておらず、国産品の品代と異なり、手数料等を控除することは明記されていない。
(注1) CIF価格輸出者が積み地の港で本船に積み込むまでの一切の費用を含んだ価格(外貨)に外国内諸掛(外貨)、国内到着地までの海上運賃又は航空運賃(外貨)及び輸入者が負担する海上保険料を加えた価格
イ輸入手数料の計算
算定基準訓令によると、国産品の手数料は、一般管理費、販売費、利子(以下「一般管理費等」という。)及び利益の総額とされており、その額については、品代に手数料率を乗じて計算することとされている。手数料率は調達物品等の取引の実
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情に応じて販売価格及び仕入原価から算出する方法などを基準とし、調達物品等の
種類、数量、金額、納期等を考慮の上、調達物品等の販売に関する用役の程度に応
じて合理的に配賦されるように定めることとされている。
一方、輸入品の計算価格の計算項目のうち輸入手数料は、国産品の手数料に準じ
て一般管理費等及び利益の総額とされており、その額については、品代に輸入手数
料率を乗じて計算することとされている。そして、輸入手数料率は、独自品、標準
品等の部品等の種類、取引の形態等にかかわらず、品代の金額の区分に応じて一律
に算出することとされており、全ての調達実施機関で共通のものとなっている。
(4) 原価の調査
一般輸入調達の契約後、調達実施機関は、契約金額に疑義が生ずるなどして、原価
を確認する必要があるなどの場合は、輸入品等売買契約一般条項(以下「一般条項」
という。)等の規定により、契約相手方である商社等に対して、帳簿書類その他の物件
を調査し、参考となるべき報告又は資料の提出を求めたり、商社等の関係場所に立入
調査をしたりなどすることができる。その際、商社等は、当該調査に協力することが
義務付けられている。
2 本院の検査結果
(検査の観点及び着眼点)
本院は、参議院から検査要請を受けて、平成21年10月に「防衛装備品の商社等を通じ
た輸入による調達に関する会計検査の結果について」を報告している。その所見におい
て、貴省が今後留意すべき点として、防衛装備品の一般輸入による調達に当たって、「販
売手数料等については、20年度から行っている商社等に対する輸入調達調査等において、
商社等と外国製造会社等との間の契約に基づく業務内容及びそれに対する対価の授受の
状況や見積書の品代の内容の状況把握に努め、これらを計算価格の算定において適切に
反映させる」必要があることを記述している。そして、「本院としては、今後とも、防衛
装備品の一般輸入による調達が適切に実施されているかについて、多角的な視点から引
き続き検査していくこととする」と記述しており、参議院からの検査要請の契機となっ
た貴省と株式会社山田洋行を含む3社との契約において品代の請求額を水増しして過大請
求が行われていた事態は、主に部品等の一般輸入調達に係るものであった。
上記を踏まえ、本院は、経済性等の観点から、部品等の一般輸入調達について、商社
等と外国製造会社等との間の売買代金の授受の状況はどのようになっているか、見積資
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料に記載された品代が取引の実態を反映した適切なものとなっているかなどに着眼して検査した。
(検査の対象及び方法)
検査に当たっては、防衛省内部部局及び装備施設本部等10調達実施機関と商社等であ
(注2)
るA社等7社との間で16年度から20年度までの間に締結された一般輸入により部品等を調
達する契約計80件、契約金額計62億0315万余円(16年度1件、契約金額2724万余円、17年
度24件、同25億5546万余円、18年度18件、同14億7767万余円、19年度22件、同14億8330
万余円、20年度15件、同6億5945万余円)を検査の対象として、調達実施機関において、
実績額報告書等を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。さらに、A社等7社
(注3)
において、会計帳簿等の書類を確認するなどして検査するとともに、外国製造会社B社等
35社及び外国販売代理店C社等5社計40社(以下「外国製造会社等40社」という。)から仕
入れた部品等について、外国製造会社等40社から発行された請求書、A社等7社の総勘定
元帳や外国送金仕向計算書等の書類を確認するなどして検査した。
(注2) 装備施設本部等10調達実施機関装備施設本部、陸上自衛隊補給統制
本部、海上自衛隊補給本部、同自衛隊艦船補給処、同自衛隊航空補
給処、同自衛隊横須賀総監部、航空自衛隊第1補給処東京支処、同自
衛隊第2補給処、同自衛隊第3補給処、同自衛隊第4補給処
(注3) 実績額報告書等特約条項に基づき特定費目の代金の確定等が必要な
場合は、商社等が実際に要した金額を記載して作成した報告書に外
国製造会社等の請求書、外貨決済レート及び送金を証明する書類等
を添付して商社等に提出させるもの
(検査の結果)
検査したところ、一般輸入調達について、次のような事態が見受けられた。
(1) 取次手数料及び粗利の状況
A社等7社との全80契約のうちA社等5社との78契約についてみると、輸入品等売買契
約73件、契約金額計60億0582万余円については、独自品の調達であることから、A社等
5社は外国製造会社と販売代理店契約を締結するなどして仕入れていた。また、当該5
社のうち2社は、輸入品等売買契約5件、契約金額計3844万余円について、標準品の調
達であることから、既に販売経路を確立している外国販売代理店から仕入れていた。
上記の調達については、前記のとおり、調達実施機関は輸入手数料を品代等に加え
ることにより、予定価格を算定していたが、本院が、A社等5社と締結した上記の78契
約について、取引の実態を調べて各契約の収支の状況等を確認したところ、当該5社に
おいて、外国製造会社等に部品等の代金を支払った後に、当該外国製造会社等からコ
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ミッション等(以下「取次手数料」という。)の名目により計5億7178万余円を受け取っ
ている事態が見受けられた。このように商社等が受け取っていた取次手数料は、輸入
品の品代の中に含まれる形で外国製造会社等から商社等に請求されていたが、調達実
施機関が商社等に対して提出を求めている実績額報告書等ではその状況の把握が困難
であり、現に、調達実施機関は把握していなかったとしていた。そして、各契約にお
ける請求書から各外国製造会社等別に品代の支払額(外貨)に対する取次手数料の額
(外貨)の割合(以下「取次手数料の率」)をみると、4.0%から46.1%、平均12.2
(注4)
%となっていた。
(注4) この取次手数料の率を算出するために用いた取次手数料は、外国製造会
社から後日取次手数料として支払われた総額であり、商社等が受け
取った額だけでなく、外国販売代理店及び商社等の現地法人が受け
取った額も含んでいる。
上記のとおり、取次手数料は、品代の一部として請求されていたが、この状況を各
契約における商社等の売上高、売上原価等を用いて示すと次のとおりである。
すなわち、部品等を外国製造会社等から仕入れる際に品代として支払った代金から、
商社等が受け取った取次手数料を控除するなどして正味の品代が計算される。そして、
輸入手数料も含めた契約代金である売上高から、正味の品代に販売直接費を加算して
得られる売上原価を差し引くと、一般管理費等を控除する前の利益(粗利)となる
(図1参照)。
図1 各契約における商社等の取引の実態で判明した品代を基準に算出した粗利
売上原価粗利
販売正味の品代取次手数料輸入
直接費実績額報告書等の品代(請求書のCIF価格等) 手数料
売上高=契約代金
(注) 粗利率(売上高-売上原価)÷売上高×100
この粗利は、予定価格の計算項目では輸入手数料に相当するが、実際には図1のとお
り、輸入手数料の他に、計算項目では想定されていない取次手数料が含まれており、
当該契約に係る一般管理費等を差し引くと商社等の利益となっている。そこで、契約
ごとに粗利を算出し、売上高に占める粗利の割合(以下「粗利率」という。図1参照)
を算出すると、0.3%から31.7%、平均10.2%となっていた。
上記の取次手数料を受領している事態を、独自品又は標準品の部品等の種類及び取
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引の形態ごとに分類すると、次のアからエまでのとおりとなっていた。
ア独自品について、商社等が外国製造会社から直接輸入する取引形態
商社等は、外国製造会社から直接、取次手数料を受領していた(図2-1参照)。
図2-1
①販売代理店契約等の締結
防商外
②見積書の依頼・提出③見積書の依頼・発行

④当初契約の締結⑤注文書の発行
衛社製
⑦物品の納入⑥物品の輸出

⑧請求書等の発行
省等会
⑩請求書等の提出・精算⑨品代等の送金

⑪契約代金の送金(輸入手数料含む) ⑫取次手数料等の送金(全部)
(注) 図中の点線は、本院の検査により直接確認できなかったものの、その他の書類等により
間接的に確認したものを表している。以下、図2-2から図2-4までについても同様。
イ独自品について、商社等がその外国現地法人に輸入業務を分担させている取引形

商社等は、外国製造会社から直接、取次手数料を受領して、商社等の外国現地法
人に対して、その取次手数料の一部を支払っていた(図2-2参照)。
図2-2
①販売代理店契約等の締結

防②見積書等の依頼・提出商③見積書の依頼・発行④見積書の依頼・発行
商国
⑤当初契約の締結⑥注文書の発行社⑦注文書の発行
等製
衛⑩物品の納入社⑨物品の輸出の⑧物品の納品
外造
⑫請求書等の発行国⑪請求書等の発行
現会
省⑮請求書等の提出・精算等⑬品代等の送金地⑭品代等の送金
法社
⑱取次手数料の送金(一部) 人
⑯契約代金の送金(輸入手数料含む) ⑰取次手数料の送金(全部)
ウ独自品について、商社等が、当該商社等の外国現地法人との間で協定等を締結し、
当該外国現地法人が主として輸入業務を担当している取引形態
商社等は、その外国現地法人を経由して、外国製造会社からの取次手数料の一部
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を受領していた(図2-3参照)。
図2-3
②協定等の締結①販売代理店契約等の締結
③見積書等の依頼・提出④見積書等の依頼・発行商⑤見積書等の依頼・発行外
防商社
⑥当初契約の締結⑦注文書の発行等⑧注文書の発行国

衛⑪物品の納入社⑩物品の輸出外⑨物品の納品製

⑬請求書等の発行現⑫請求書等の発行造
省等地
⑯請求書等の提出・精算⑭品代等の送金法⑮品代等の送金会


⑰契約代金の送金(輸入手数料含む) ⑲取次手数料の送金(一部) ⑱取次手数料の送金(全部)
エ標準品について、商社等が、特定の外国販売代理店から仕入れを行っている取引
形態
商社等は、当該外国販売代理店を経由して外国製造会社からの取次手数料の一部
を受領していた(図2-4参照)。
図2-4
②売買契約の締結①販売代理店契約等の締結
③見積書等の依頼・提出④見積書等の依頼・発行⑤見積書等の依頼・発行
防商外外
⑥当初契約の締結⑦注文書の発行⑧注文書の発行
国国
衛⑪物品の納入社⑩物品の輸出⑨物品の納品
販製
⑬請求書等の発行⑫請求書等の発行
省等売造
⑯請求書等の提出・精算⑭品代等の送金⑮品代等の送金
代会
理社

⑰契約代金の送金(輸入手数料含む) ⑲取次手数料の送金(一部) ⑱取次手数料の送金(全部)
また、上記のアからエまでの態様別に、取次手数料の率、粗利率及び粗利率と輸入
手数料の率の開差をそれぞれ算定したところ、次表のとおりとなっており、粗利率は
(注5) (注6)
輸入手数料の率を平均8.0ポイント上回っていた。
(注5) 輸入手数料の率輸入手数料÷売上高×100
(注6) 粗利率と輸入手数料の率との開差粗利率-輸入手数料の率
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表態様別の粗利率及び粗利率と輸入手数料の率との開差
態商外国契
社製造約契約金額品代取次手数取次手数料粗利率輸入手
等会社件料の率A 数料のA-B
様数等数数率B
社社件千円千円千円% % %
ア3 4 5 425,649 238,358 24,495 最大28.57 21.02 3.07
最小10.00 2.70 0.76
平均17.34 11.43 2.04 9.39
イ3 19 59 5,531,946 5,312,785 540,061 最大46.16 31.78 3.59
最小4.00 2.98 0.57
平均11.73 10.67 2.03 8.64
ウ3 12 11 310,257 176,237 7,241 最大20.28 21.13 4.07
最小6.42 0.33 1.20
平均10.46 7.69 2.77 4.92
エ2 5 5 55,146 45,337 2,399 最大30.16 14.79 4.75
最小5.00 1.20 2.27
平均15.04 7.24 3.40 3.83
合5 40 78 6,044,265 5,731,964 571,782 最大46.16 31.78 4.75
最小4.00 0.33 0.57
計平均12.20 10.26 2.25 8.01
(注) 同一の契約が複数の態様に該当しているものがあるため、各態様の契約件数、契約金額、
品代及び取次手数料を合計しても合計の欄と一致しない。
以上のように、実績額報告書等の品代は、正味の品代に取次手数料を加算したもの
となっているのに、調達実施機関がこの事実を把握しないまま予定価格を算定してい
る事態は適切とは認められない。
このうち、アの事例を掲げると、次のとおりである。
<事例>
装備施設本部とA社との契約において、商社であるA社と外国製造会社であるB社との取
引では、A社がB社に対して21年3月に167,170.00ユーロ(邦貨換算額19,578,950円)を支
払い、後日、B社から取次手数料として24,570.51ユーロ(邦貨換算額2,877,698円)を受
け取っていた。しかし、A社は、品代に含まれていた取次手数料を計上することなく実績
額報告書等を作成して、装備施設本部に提出し、装備施設本部は当該実績額報告書等に
基づき精算を行っていた。このため、上記契約の輸入手数料の割合は2.1%となるのに対
して、粗利率を算出すると、21.0%となっていた。
(2) 国内製造会社を通じた一般輸入
前記のA社等7社との契約のうち、商社D社及び国内製造会社E社との契約で、それぞ
れ輸入により共通した部品等を調達している2契約(契約金額、計1億5888万余円)に
おいて、次のような事態が見受けられた。
すなわち、装備施設本部は、外国製造会社F社の航空機の交換用部品(独自品)を1
7年度以前はD社を通じた一般輸入により調達していたが、18年度以降はF社と航空機の
製造、修理及び部品販売に関する技術提携契約を締結している国内製造会社E社(18年
度から入札に参加)と輸入品等売買契約を締結していた。
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このような状況となっていたことから、本院は、上記の2契約について、D社及びE社
の両社とF社との間の取引状況を、発注書、見積書、請求書、会計伝票等により検査し
た。その結果、D社を通じた一般輸入調達の場合、前掲図2-2のとおり、D社は、外国現
地法人を経由し、F社に対して品代を支払い、後日、F社から取次手数料を受け取り、
D社の外国現地法人に取次手数料の一部を支払っていた(前記イの態様に相当)。
一方、E社を通じた一般輸入調達の場合は、図3のとおり、E社は、D社に対して契約
締結業務、一般輸入調達に関する各種手続等を支援する業務を委託していたものの、
F社との間で技術提携契約を締結していることから、F社と直接売買契約を締結するこ
とができたため、品代に取次手数料が含まれていなかった。
図3
①売買契約の締結
防③見積書等の依頼・提出E ④見積書の依頼・発行F
社社
⑤当初契約の締結

⑥注文書の発行
(国外衛⑧物品の納入内⑦物品の輸出国
製製
造⑨請求書等の発行造
会会
省⑪請求書等の提出・精算社⑩品代等の送金社


②契約締結・輸入支援業務
D
⑫契約代金の送金(輸入手数料含む) ⑬業務委託料社(商社)
そこで、前記の2契約で共通する54部品等の単価について、F社が発行している見積資料等により比較すると、1部品等を除き、F社と直接売買契約を締結しているE社の単価は、取次手数料が不要となることなどから、D社の単価に対して239.35米ドルから8,550.80米ドル低額となっていて、国内製造会社E社の契約は、商社D社との契約に比べ、全体として値下がりしていた。
このように、外国製造会社との間で締結した技術提携契約に基づいて装備品の製造等を実施している国内製造会社が、当該外国製造会社から交換用と指定されている独自品を直接購入することは、前記イの態様以外の取引形態においても可能であることから、そのような場合、調達実施機関は、独自品、標準品等の部品等の種類、取引の形態等を考慮した上で、このような契約を締結することが可能かどうかを検討する必
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要があると認められる。
(3) 原価の調査の実施状況
(1)のとおり、輸入品の品代が、正味の品代に取次手数料を加算したものとなっていて、粗利率と輸入手数料の率とに開差がある状況となっている事態を踏まえ、本院は、主な調達実施機関に対する会計実地検査の際、調達実施機関自らが、一般条項の規定による原価の調査を実施することの必要性について見解を聴取した。
その結果、各調達実施機関は、契約金額に疑義が生じた場合とはどのような事態が該当するかが明確に定められていないことなどを理由として、調査を実施する予定はないとの説明であった。また、調達実施機関が一般輸入調達のために商社等と締結している輸入品等売買契約においても、算定基準訓令と同様に、品代等に係る定めはあるものの、取次手数料の取扱いについての定めがないことなどから、商社等も取次手数料について明らかにしていない状況が見受けられた。

(改善を必要とする事態)
前記の78契約について、調達実施機関が、取次手数料を把握していないため、取次手数料を含んだ品代を基準として予定価格を算定していたり、独自品、標準品等の部品等の種類、取引の形態等に応じて、取次手数料の取扱いを考慮した予定価格の算定や、国内製造会社が外国製造会社と直接売買契約を締結するなどの契約の方法を検討していなかったりしている事態は、取引の実例価格等を反映した適切なものであるとは認められず、改善の要があると認められる。また、品代に疑義が生じた場合に一般条項に基づく原価の調査を実施していない事態は、当該規定が形骸化し、過大請求の誘因にもなり得ることから、適切とは認められず、改善の要があると認められる。

(発生原因)
このような事態が生じているのは、主として次のようなことによると認められる。
ア貴省及び調達実施機関において、商社等を通じて部品等を一般輸入調達する際の取引の実態を十分把握していないこと
イ貴省において、一般輸入調達における取次手数料について、算定基準訓令等にその取扱いを明確に定めていないこと
ウ貴省及び調達実施機関において、一般輸入調達に際して、契約金額に疑義が生じた場合の原価の調査等の取扱いを明確に定めていないこと
エ貴省及び調達実施機関において、一般輸入により部品等を調達する際、独自品、標
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【日経】2011/10/13 22:30
防衛装備品で輸入商社、手数料上乗せ 検査院指摘

 防衛装備品の輸入を巡り、輸入商社が防衛省に代金を請求する際、海外メーカーから受け取る見込みの取次手数料約5億7千万円を上乗せしていたことが13日、会計検査院の検査で分かった。手数料は平均で請求額の12%超を占め、検査院は「過大請求につながる恐れがあり、取引内容を精査する必要がある」として同省に改善を求めた。

 検査院は2004~08年度に商社7社と結ばれた80件(契約金額計約62億円)の契約を抽出して検査。その結果78件で、同省が支払った代金約60億円のうち、商社が取次手数料として計約5億7千万円を海外メーカーから還流させていたことが判明した。

 検査院や同省によると、同省は自衛隊で使用する弾薬や戦闘機の部品などの装備品について、防衛商社を通じるなどして海外メーカーから輸入。最近5年間の輸入総額は年間約1千億~約1500億円で推移している。

 商社側は同省に防衛装備品の見積もりを提示する際、この取次手数料をあらかじめ物品代金に含めていた。請求額に占める手数料の割合は平均12.2%で、なかには46.1%が手数料だったケースもあった。同省は当時、取次手数料の存在について把握していなかったという。

 防衛装備品を巡っては07年、防衛商社「山田洋行」が見積書を偽造して過大請求を繰り返していた問題が発覚。同省は08年以降、海外メーカーに見積書原本を提出させたり、契約を審査する職員を増員したりするなどの対策を講じている。

 防衛省装備政策課の話 手数料を的確に把握できるよう今後もチェック機能を強めていく。

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