池田道大 報告
「東京に造れないものを造る。造ってどんどん東京からカネを送らせるんだ」 地元・柏崎刈羽原発についてこう熱弁を振るったのは田中角栄
中曽根康弘が原子力関連の予算を初めて提出・成立させた1954年。
翌年、原子力基本法が成立
1960年代には電力会社が相次いで立地を計画
1970年代初頭に原発反対の声が高まり、立地計画は頓挫
閉塞状況を打破したのが時の首相・田中
1974年に「電源三法」(電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法の総称)
法律により、電力会社は販売電力量に応じて1kW時あたり37.5銭の「電源開発促進税」を電気料金に上乗せして国に納付する。
標準家庭で年間1400円ほど。主に都市部で徴収した税金を特別会計に繰り入れ、交付金として過疎地の原発自治体に還元する仕組み。
今年度予算案では一般会計、特別会計合わせて4000億円を原子力分野に投下される。
出力135万kWの原発(建設期間7年)を新設する場合、
環境影響評価が始まった翌年度から3年間、年5.2億円の交付金が支払われる。
交付金は4年目の着工年度に79.2億円まで一気に跳ね上がり、
その後40億~80億円で推移。運転開始までの10年間で約481億円
50年間の総計は約1359億円
運転開始後は固定資産税収がプラスされる。
静岡県御前崎市の浜岡原発。旧浜岡町(2004年に御前崎町と合併)に原発誘致が持ち上がったのは1967年だった。
地元は1975年度以降、2005年度までに231億円もの交付金を使い、豪勢な市立図書館「アスパル」や屋内・屋外利用の市民プール「ぷるる」などの大型施設を建設。
御前崎市の今年度の一般会計当初予算167億8000万円のうち原発関連の交付金や固定資産税は総額71億2100万円
福島第一原発と第二原発は地元で1万1000人を雇用
地元優遇は徹底される。設備の拡張工事や花壇の整備、機材の納入などを地元の業者に発注。お中元など贈答品は地元デパートに大量注文し、商店街や町内会の小さなイベントにも電力会社から“心づけ”が届く。
電力会社が大量のカネを投下できるのは、電気料金がかかったコストに一定の報酬を上乗せする「総括原価」方式で決まるからだ。このため、電力会社はそれらの費用をユーザーの払う電気料金に転嫁できるのである。
※SAPIO2011年8月3日号
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