2011年5月30日月曜日

航空観閲式、準備指示 「被災地・原発に集中を」制服組批判

航空観閲式、準備指示 「被災地・原発に集中を」制服組批判
2011.5.30 07:09

 防衛省が今秋の「航空観閲式」開催に向け準備作業に着手したことが29日、分かった。震災への支援に追われるなか、自衛隊内からは「戦力と基地機能を被災地支援と危機管理に集中すべきだ」(幹部)との批判が出ている。

 前回の航空観閲式は平成20年10月で、今年も10月に航空自衛隊百里基地(茨城県)で開くことを想定。2月に航空幕僚長通達で準備要員の派遣を各部隊に求め、約60人を招集した。大震災発生で部隊に戻したが、4月中旬に再び同規模の要員を百里基地などに集めた。

 今月に入り、防衛省内局が北沢俊美防衛相に航空観閲式を含む自衛隊行事を開催するか判断を仰いだ際、北沢氏は「淡々とやるべきだ」と指示。

 これを受け空自は20日に「実施構想について」と題する通達を出し、詳細な式典計画を各部隊に提示した。

 実施構想によると、82機の飛行や展示を行った前回に比べ航空機は60機以下に減らすが、招待客は前回の約7千人より多い約8500人を予定している。

 ただ、空自は震災対応でなお1万1千人以上を派遣、物資輸送や行方不明者の捜索を続けている。福島第1原発の状況がさらに悪化し空自の消防車が再派遣されることになれば百里基地が拠点になる。

 百里基地の隊員は通常約1800人だが、開催に向け8月ごろから警備要員として約1千人を増援させる必要があり、要員を差し出す各部隊の負担も増す。

 前回経費は燃料代を除く会場設営機材費などだけで約6億4千万円。

 一方、空自は被災した松島基地(宮城県)の復旧などで約8億円を平成23年度第1次補正予算に計上。水没したF2戦闘機の修理にも数百億円かかる。観閲式の経費を復旧や復興事業に充てるべきだとの声も多い。

0 件のコメント: