2011年12月1日木曜日

【東芝】 3工場を閉鎖 2012年度上半期中



【読売】2011年12月1日
 東芝閉鎖、茂原・浜岡も…来年度上期中

半導体 超円高で縮小

 東芝は30日、光半導体を製造する北九州工場(北九州市)と「浜岡東芝エレクトロニクス」(静岡県御前崎市)、パワー半導体の組み立てを行う「東芝コンポーネンツ」(千葉県茂原市)の3工場を2012年度上期中に閉鎖すると正式発表した。

 約1200人の正社員は他の工場などに配置転換する。1ドル=77円台の超円高が続き、収益を得ることが難しくなったため、半導体の国内生産体制を抜本的に見直す。

 光半導体は、生産を続ける製品数を半減させ、石川県能美市の工場に集約する。パワー半導体の国内での組み立ては取りやめ、海外企業に委託する。

 大分工場(大分市)もテレビ用などのシステムLSI(大規模集積回路)の製造ラインを減らし、正社員2500人のうち最大で約500人を配置転換する。

 また、欧米の景気悪化で自動車やデジタル家電の販売が落ち込んでいるため、短期的な対策として、年末年始に北九州など計3工場で最大2週間休業することも決めた。他の半導体工場も需要に応じて減産を検討するという。


 東芝が今回閉鎖を決めた北九州工場は、システムLSIの生産を2009年度に大分工場へ移管したばかりだった。今年4月には、ソニーから2008年に購入した高性能半導体「セル」の生産設備を、ソニーへ再度売却し、半導体事業の構造改革は一定のメドがついたはずだった。

 しかし、想定以上に進む円高により、スマートフォン需要で好調なフラッシュメモリーを除くと、半導体事業の収益は一向に改善しない。11年7~9月期決算ではシステムLSIは数十億円の営業赤字となり、久保誠専務は10月31日の決算発表で「円高は個別企業の努力を超えた水準」と危機感を示していた。

 円高による生産体制の見直しは製造業各社に広がる。高い技術力で世界を席巻したパネルや半導体産業は総崩れ状態だ。パナソニックは、テレビ用プラズマパネルを製造する国内3工場のうち2工場の生産を今年度中に停止し、千葉県茂原市の液晶パネル工場も売却する。半導体大手のエルピーダメモリも、主力の広島工場の生産設備を最大で4割程度台湾の子会社に移設する。自動車業界も円高に加え、日本の経済連携協定(EPA)の遅れを背景に、海外に生産拠点を移す動きが相次ぐ。

 経済産業省は、1ドル=70円台の円高が続けば企業の海外への生産移転が止まらず、15年度の海外生産比率は素材産業で17%、自動車など組み立て加工業では30%に達すると試算する。00年度に比べて2倍に増えることになる。国内で約390万人程度の雇用が失われる恐れがある。

0 件のコメント: