2011年11月22日火曜日

日出生台で陸自が本格的実動演習場 11月17日

11月17日(木)日の出時刻;午前6時45分


【朝日】2011年11月18日
 日出生台で陸自が本格的実動演習場

 17日(木)は日出生台演習場で北部方面隊第7師団(北海道)の90式戦車や89式装甲戦闘車を使い、島の防衛を想定した本格的な演習があった。

 早朝5時50分。約40人の記者団が日出生台演習場入り口の駐車場に集まった。気温は約1度。吐く息は白く、体の芯から冷える。西部方面総監部広報室の隊員から事前説明を受け、いよいよ演習場の中へ。暗闇の中をマイクロバスで進む。

 まず向かったのは、演習の全景が見渡せる高台。見渡す限り高原が広がる。日出生台演習場は総面積が4900ヘクタールほどあり、西日本最大の演習場だ。今回はその一部分の東西南北5キロ四方を「島」に見立て、「島への侵攻を想定した防衛」が訓練の目的となっている。隊員約2200人のうち約1500人と戦車などを攻撃と防御の2チームに分け、攻撃側は西側の「港」から攻め込む。

 午前7時半過ぎ、「島」の西部にある丘で戦車を待つ。辺りは明るく、気温も上がってきた。頭上では防御側のヘリが攻撃側を威嚇している。

 1時間後、戦車がけたたましい音と共に進み始めた。約50トンの90式戦車も4台が少し間隔を空けながら動く。顔を草色にペイントした攻撃側の隊員が数人、偵察のために草むらをかき分けて先導する。その合図を確認し少しずつ戦車が進む。

 隊員は一人ひとりが「バトラー」と呼ばれる小型機器を身に着けている。GPS機能が付き、訓練監視員は全隊員の位置を把握できる。また、対戦相手の機関銃や戦車砲などが発したレーザーにも反応する。そのため、空砲でも「死亡」や「負傷」を認定できる。

 午前11時半、防御側に見学場所を移した。塹壕のような低い場所に120ミリ迫撃砲が置かれ、4人の隊員が協力して空砲を撃つ。射程は約10キロ。火薬の量や方角などを変えて的確に狙う技術が必要だ。「準備良し」と叫ぶ隊員たちの声が響いていた。

 方面隊の実動演習は今回で3回目。旧ソ連を意識して開発された90式戦車など初めて北海道の戦車部隊を九州まで移動させた。背景にあるのは、年々増強されている中国の軍事力の脅威だ。陸自側は演習の様子を報道陣に公開することで、彼の国を牽制(けん・せい)する狙いもあるのだろう。西部方面総監部広報室長の立山隆一1等陸佐は「九州、沖縄にはたくさんの離島がある。こういう形で我々が訓練をしていることを知っておいてもらえれば」と語った。(山中由睦)

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