2011年9月23日金曜日

「北極海航路」復興へ露プーチン首相が発破 温暖化で海氷減少 欧州・アジア最短ルート

【産経】2011.9.23 20:50

【モスクワ=遠藤良介】プーチン首相は23日までに、自国沿岸の北極海を横断する「北極海航路」をスエズ運河に比肩する「世界的な大動脈」に発展させる方針を示し、インフラ整備に力を入れるよう関係当局に発破をかけた。

 地球温暖化で北極海の海氷が減少、夏季の航行が比較的容易になったのに伴い、北極海航路は欧州とアジアを結ぶ最短ルートとして国内外の関心を集めている。

 プーチン氏は22日、北西部アルハンゲリスクで行われた国際会議で「北極海航路はコストや安全性などの点で伝統的な航路に対抗しうるようになる」と発言。同航路では欧州北部-東アジアの航行距離をスエズ運河経由に比べて3分の1ほど短縮でき、「利用する国や企業には大きなメリットがある」と強調した。

 北極海航路は旧ソ連が軍事目的で開拓したものの、ソ連崩壊後は市場経済化の混乱とともに壊滅的に衰退。ただ、北極海の海氷減少を受けて大型タンカーや貨物船を実験的に運航するケースが増えており、今年の同航路での輸送量は70万トンに達する見通しだ。

 ロシアとしては、北極圏での石油・天然ガス開発をにらみ、この航路をアジア地域への主要な資源輸送経路とする狙いもある。

 ロシアは現在、北極海航路での伴走に必要な砕氷船を10隻運用しており、政権は2020年までにさらに3隻の原子力砕氷船と6隻の電気推進砕氷船を建造する計画。プーチン氏はこのために14年までに380億ルーブル(約900億円)を支出することを明らかにした。

 北極海航路をめぐっては、夏場の数カ月間しか航行できないことや砕氷船の利用によるコスト高といった問題点が指摘されるほか、通信網の構築や沿岸部の港湾整備など安全面の課題も山積している。

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