アシアナ貨物機墜落:電池爆発説に疑問、深まる謎
【郭彰烈記者】 28日早朝、済州島南西沖で墜落したアシアナ航空の中国行き貨物機の事故原因をめぐり謎が深まっている。貨物室に積まれていたリチウムイオン電池が爆発したことが原因との見方が出ていることについて、専門家は「確率は低い」と反論している。
国土海洋部とアシアナ航空によると、事故機にはリチウムイオン電池約40.6キロが積まれていた。この電池は、関西空港から日本の飛行機で韓国に到着し、アシアナ航空の貨物機で上海に運ばれる途中だった。
リチウムイオン電池の内部にある電解液は、強い衝撃や熱によって爆発、発火する可能性があるとされる。
しかし、事故機に積まれていたリチウムイオン電池は、過去に米国機などで火災を起こしたリチウム電池とは異なるもので、リチウムイオン電池はリチウム電池に比べ爆発の可能性が非常に低いとされる。
韓国電気研究院の関係者は「リチウムイオン電池が(事故機の)火災の原因になったという説は、リチウム電池とリチウムイオン電池の違いを知らないことによる錯覚ではないか」と指摘した。
最近の航空事故を見ると、2009年には米ミネアポリス空港に着陸しようとしていた航空機の貨物室でリチウム電池が爆発し火災を起こした。また、昨年9月に米UPSの貨物機がアラブ首長国連邦ドバイで墜落した事故では、離陸直後にリチウム電池が爆発した可能性が指摘されている。
リチウム電池は内部のリチウムが水と反応し、発火する可能性がある。これに対し、リチウムイオン電池は、リチウムが液体に溶け、イオン状態となっているため、周辺に火気がない限り、爆発や火災を起こす可能性は極めて低いとされる。
このため、今回の事故では、その他の危険物の積載に問題がなかったか、疑いの目が向けられている。墜落した飛行機は58トンの貨物を積んでおり、中には国際航空運送協会(IATA)と国際民間航空機関(ICAO)の危険物質に指定された塗料、合成樹脂、アミノ酸溶液も含まれていた。
引火性物質の塗料0.23リットルは、米サンフランシスコ空港から仁川空港を経由して上海に運ばれる予定だった。このほか、合成樹脂溶液144キロや、腐食性溶液のアミノ酸溶液5リットルもリチウムイオン電池と共に積まれていた。
専門家はこうした危険物質が混載されていたとすれば、問題を引き起こす可能性があると指摘している。しかし、アシアナ航空は「IATAなどが定めたマニュアルを徹底している上、厳格に二重、三重の措置を施しており、(問題を起こすことは)あり得ない」と説明している。
リチウムイオン電池は、リチウムまたはリチウム混合物を主な材料とする使い捨て電池だ。リチウムは液体状態より金属状態の方が不安定で、化学反応を起こし、爆発や火災が発生する可能性がある。リチウムを液体に溶かしたイオン状態で利用するリチウムイオン電池は、再充電が可能な二次電池で、リチウム電池に比べ安定性ははるかに高い。
2011/08/01 10:59:06
アシアナ貨物機墜落:3分前に「どうにもならない」と交信
アシアナ貨物機墜落:3分前に「どうにもならない」と交信
先月28日早朝に済州島南西沖129キロの海上で墜落したアシアナ航空の貨物機(機種・ボーイング747)が、事故直前の交信で操縦士が「どうにもならない」という言葉を残していたことが分かった。
国土海洋部(省に相当)関係者によると、事故機は28日午前4時9分ごろ、済州空港管制所との交信で「どうにもならない」との言葉を残し、それから3分後にレーダーから消えたという。
事故機は午前3時55分、中国・上海管制所に「貨物室で火災が発生した」との交信を行い、済州空港に引き返している途中、午前4時12分に行方不明となった。「どうにもならない」との交信は、火災発生を伝える交信の14分後だった。
交信内容からみて、実際に火災が発生していたとすれば、操縦士が14分間に火災の鎮火と機体の安全な着陸のため、死闘を繰り広げていたことになる。
アシアナ航空関係者によると、貨物機の操縦士は、貨物室で火災が発生した場合、貨物室への酸素供給を遮断し、飛行高度を約7000フィート(2134メートル)まで落とした後、最寄りの空港に向かうか、それが困難な場合は、海上に不時着するよう訓練を受けている。
事故機は合計で57.8トンの貨物を載せ、午前3時5分に仁川空港を離陸し、目的地の上海浦東空港に向かっていた。
これまで有力な事故原因として挙がっているのは、やはり貨物火災だ。貨物には、リチウムイオン電池40.6キロ、塗料0.23リットル、アミノ酸溶液5リットルなどいわゆる「注意貨物」が含まれていた。このうち、リチウムイオン電池が発火した可能性が指摘されている。問題のリチウムイオン電池は、関西空港から日本の航空会社便で仁川空港に到着し、上海に向かう事故機に積み替えられた。
アシアナ航空は「日本から空輸されたものを、外観検査を行った上で事故機に積み替えた」と説明。国土海洋部は「規定上、包装を開封せずに外観確認だけを行っても問題はない」としている。もしリチウムイオン電池が火災原因と判明すれば、貨物を発送した日本側にも一定の責任が生じる可能性がある。
これについて、電池の専門家は「これまで航空機で起きた火災事故の大半はリチウム電池(リチウムが電池内部に固体状態で使われている電池)が原因で起きたが、今回墜落したアシアナ機に積まれたリチウムイオン電池(リチウム電解液が使われた電池)は、リチウム電池とは異なり、自然発火する可能性が極めて低い」と述べた。外部から大きな力が加わるか、直接火を付けない限り、火災が起きにくいとの指摘だ。
また、事故機が空中爆発を起こしたのか、海に墜落したのかについても、まだ明らかになっていない。事故機は仁川空港から上海空港まで2時間の飛行を予定しており、離陸後1時間で事故を起こしたため、燃料が相当量残っていたとみられる。専門家は「火災が原因だとすれば、空中爆発した可能性がある」とみている。
行方不明者と残がいの捜索を行っている海洋警察庁の関係者は「事故機の残がいが最初に発見された場所は、行方不明になった地点から東にやや離れた場所だ。残がいはあちこちに分散している」と語った。
アシアナ航空は「日本から空輸されたものを、外観検査を行った上で事故機に積み替えた」と説明。国土海洋部は「規定上、包装を開封せずに外観確認だけを行っても問題はない」としている。もしリチウムイオン電池が火災原因と判明すれば、貨物を発送した日本側にも一定の責任が生じる可能性がある。
これについて、電池の専門家は「これまで航空機で起きた火災事故の大半はリチウム電池(リチウムが電池内部に固体状態で使われている電池)が原因で起きたが、今回墜落したアシアナ機に積まれたリチウムイオン電池(リチウム電解液が使われた電池)は、リチウム電池とは異なり、自然発火する可能性が極めて低い」と述べた。外部から大きな力が加わるか、直接火を付けない限り、火災が起きにくいとの指摘だ。
また、事故機が空中爆発を起こしたのか、海に墜落したのかについても、まだ明らかになっていない。事故機は仁川空港から上海空港まで2時間の飛行を予定しており、離陸後1時間で事故を起こしたため、燃料が相当量残っていたとみられる。専門家は「火災が原因だとすれば、空中爆発した可能性がある」とみている。
行方不明者と残がいの捜索を行っている海洋警察庁の関係者は「事故機の残がいが最初に発見された場所は、行方不明になった地点から東にやや離れた場所だ。残がいはあちこちに分散している」と語った。
入力 : 2011/08/01 10:39:33
アシアナ貨物機墜落:機長の保険加入めぐり疑問の声
20日間で最大32億ウォンの保険に加入
アシアナ航空
【孫振碩(ソン・ジンソク)記者】 「正確な事故原因が解明されなければならないが、保険に加入した際の過程だけを見ると、保険詐欺のようなパターンが見られることも事実だ」(A保険会社の関係者)
先月28日に済州道の近海で墜落した、アシアナ航空の貨物機の機長チェ・サンギ氏(52)は、20日間に相次いで保険に加入し、その保険金は最大で32億ウォン(約2億3450万円)に達することが分かった。これについて保険業界では「こんなに短期間に、数十億ウォン(10億ウォン=約7300万円)もの保険を掛けたのは極めて異例だ」と疑問を呈している。
■疑問1:20日間に集中的に加入
保険業界では、チェ氏が20日間に六つの保険会社の商品に加入し、それからわずか2カ月後に事故が発生したことを根拠に疑問を呈している。
保険業界の関係者たちは「32億ウォンの保険金を受け取るためには、毎月の保険料として100万‐200万ウォン(約7万4000‐14万8000円)を支払わなければならない」と推定している。チェ氏は保険に加入した後、1カ月目の保険料を払っただけだった。B保険会社の関係者は「毎月100万‐200万ウォンもの保険金を、向こう5‐10年も払い続けようとしていたのか疑問だ。通常、このような形で保険に加入するのは困難だ」と主張した。
■疑問2:大部分が損害保険
保険業界では、チェ氏が加入した保険商品のうち、一つを除いて全て損害保険だったという点に着目している。損害保険は生命保険に比べ、保険料が相対的に安く、加入のための手続きも簡素だ。がん保険などの生命保険に加入するには、現在の健康状態に関する病院の診断書を提出しなければならず、加入のための手続きは複雑だ。これに対し損害保険は、予測できない事故や災害に備えるための保険で、保険料を1回支払えば効力が発生する。金融監督院の関係者は「チェ氏が早く簡単に加入しなければならない事情があったと考える余地もある」と話した。
■疑問3:大部分が保障性保険
金融監督院によると、チェ氏が加入した保険商品の大部分が保障性保険だったという。生命保険の商品の中には、貯蓄としての性格を持つものがあるが、チェ氏が集中的に加入していた損害保険は、事故や災害に遭わなければ、毎月納付した保険料を1銭も受け取れない保障性保険だ。保険業界のある関係者は「チェ氏は、一部でも保険金を受け取れる貯蓄性保険にはほとんど加入せず、事故や災害にあった場合にまとまった保険金を受け取れる保障性保険ばかり集中的に加入していたという点も釈然としない」と話している。
アシアナ貨物機墜落:機長の保険加入めぐり疑問の声
20日間で最大32億ウォンの保険に加入
アシアナ航空
【孫振碩(ソン・ジンソク)記者】 「正確な事故原因が解明されなければならないが、保険に加入した際の過程だけを見ると、保険詐欺のようなパターンが見られることも事実だ」(A保険会社の関係者)
先月28日に済州道の近海で墜落した、アシアナ航空の貨物機の機長チェ・サンギ氏(52)は、20日間に相次いで保険に加入し、その保険金は最大で32億ウォン(約2億3450万円)に達することが分かった。これについて保険業界では「こんなに短期間に、数十億ウォン(10億ウォン=約7300万円)もの保険を掛けたのは極めて異例だ」と疑問を呈している。
■疑問1:20日間に集中的に加入
保険業界では、チェ氏が20日間に六つの保険会社の商品に加入し、それからわずか2カ月後に事故が発生したことを根拠に疑問を呈している。
保険業界の関係者たちは「32億ウォンの保険金を受け取るためには、毎月の保険料として100万‐200万ウォン(約7万4000‐14万8000円)を支払わなければならない」と推定している。チェ氏は保険に加入した後、1カ月目の保険料を払っただけだった。B保険会社の関係者は「毎月100万‐200万ウォンもの保険金を、向こう5‐10年も払い続けようとしていたのか疑問だ。通常、このような形で保険に加入するのは困難だ」と主張した。
■疑問2:大部分が損害保険
保険業界では、チェ氏が加入した保険商品のうち、一つを除いて全て損害保険だったという点に着目している。損害保険は生命保険に比べ、保険料が相対的に安く、加入のための手続きも簡素だ。がん保険などの生命保険に加入するには、現在の健康状態に関する病院の診断書を提出しなければならず、加入のための手続きは複雑だ。これに対し損害保険は、予測できない事故や災害に備えるための保険で、保険料を1回支払えば効力が発生する。金融監督院の関係者は「チェ氏が早く簡単に加入しなければならない事情があったと考える余地もある」と話した。
■疑問3:大部分が保障性保険
金融監督院によると、チェ氏が加入した保険商品の大部分が保障性保険だったという。生命保険の商品の中には、貯蓄としての性格を持つものがあるが、チェ氏が集中的に加入していた損害保険は、事故や災害に遭わなければ、毎月納付した保険料を1銭も受け取れない保障性保険だ。保険業界のある関係者は「チェ氏は、一部でも保険金を受け取れる貯蓄性保険にはほとんど加入せず、事故や災害にあった場合にまとまった保険金を受け取れる保障性保険ばかり集中的に加入していたという点も釈然としない」と話している。
2011/08/01 11:00:01
アシアナ貨物機墜落:故意の事故との見方も
機長が巨額の保険に加入
アシアナ航空
【クァク・レゴン記者/ハン・サンヒョク記者】 先月28日に韓国・済州島南西沖で墜落したアシアナ航空貨物機のチェ・サンギ機長(52)は、大田出身で空軍第2士官学校を卒業し、1991年にアシアナ航空に入社した。飛行時間が1万4123時間を超えるベテラン操縦士だ。空軍第2士官学校は75年に設立され、84年に廃校になった空軍の2年制士官学校で、航空機の操縦・整備・管制などに関わる初級将校を育成していた。
チェ機長が事故前に巨額の保険に加入しており、「故意の事故」との見方が出ていることに対し、家族らは「事実無根」とこれを否定している。家族らは、アシアナ航空からの事故に関する報告を待っている状態だ。
チェ機長の夫人は本紙の電話取材に対し「まだ死亡さえ確認されていないのに、夫が事故前に巨額の保険に加入していたことが知られ、とてもつらい。今は何も話したくない」と語った。
別の家族は「チェ機長は日ごろから人の頼みを断れない性格だった。正確には分からないが、親しい人から加入を勧められたら、断れずに突然多額の保険に入ることもあるのでは。生死も分かっていないのにさまざまな誤解が生まれて悔しい」と述べた。チェ機長の家族は、アシアナ航空の関係者と共に済州島沖合の事故海域での調査に参加した。
チェ機長は4人家族で、忠清南道牙山市の韓国高速鉄道(KTX)駅から約1キロ離れたマンション(分譲価格約2億2000万ウォン=約1600万円)に暮らしている。韓国土地住宅公社(LH)が建設し、昨年10月に入居した99平方メートルの部屋で、現在はLHの名義になっている。債務関係などは明らかになっていない。チェ機長は、仕事の際にはKTXなどで仁川国際空港に出勤していた。
アシアナ貨物機墜落:故意の事故との見方も
機長が巨額の保険に加入
アシアナ航空
【クァク・レゴン記者/ハン・サンヒョク記者】 先月28日に韓国・済州島南西沖で墜落したアシアナ航空貨物機のチェ・サンギ機長(52)は、大田出身で空軍第2士官学校を卒業し、1991年にアシアナ航空に入社した。飛行時間が1万4123時間を超えるベテラン操縦士だ。空軍第2士官学校は75年に設立され、84年に廃校になった空軍の2年制士官学校で、航空機の操縦・整備・管制などに関わる初級将校を育成していた。
チェ機長が事故前に巨額の保険に加入しており、「故意の事故」との見方が出ていることに対し、家族らは「事実無根」とこれを否定している。家族らは、アシアナ航空からの事故に関する報告を待っている状態だ。
チェ機長の夫人は本紙の電話取材に対し「まだ死亡さえ確認されていないのに、夫が事故前に巨額の保険に加入していたことが知られ、とてもつらい。今は何も話したくない」と語った。
別の家族は「チェ機長は日ごろから人の頼みを断れない性格だった。正確には分からないが、親しい人から加入を勧められたら、断れずに突然多額の保険に入ることもあるのでは。生死も分かっていないのにさまざまな誤解が生まれて悔しい」と述べた。チェ機長の家族は、アシアナ航空の関係者と共に済州島沖合の事故海域での調査に参加した。
チェ機長は4人家族で、忠清南道牙山市の韓国高速鉄道(KTX)駅から約1キロ離れたマンション(分譲価格約2億2000万ウォン=約1600万円)に暮らしている。韓国土地住宅公社(LH)が建設し、昨年10月に入居した99平方メートルの部屋で、現在はLHの名義になっている。債務関係などは明らかになっていない。チェ機長は、仕事の際にはKTXなどで仁川国際空港に出勤していた。
0 件のコメント:
コメントを投稿