2011年6月21日火曜日

中国:共産党90周年映画が不評 豪華キャストでも空席

中国各地で大々的に宣伝されている映画「建党偉業」の広告=北京市内の映画館前で、工藤哲撮影

【北京・工藤哲】中国共産党創建90周年の記念日(7月1日)を前に、中国で公開されたばかりの映画「建党偉業」の内容に不満の声が出ている。国民の愛党精神を高めようとする中国当局の狙いに国民は必ずしも同調していないようだ。

 映画は、近代化の出発点となった辛亥革命(1911年)から党が創建された21年までの10年間に焦点を当て、孫文や袁世凱、毛沢東などの指導者や庶民の姿を描いている。

 アンディ・ラウやワン・リーホンら中華系スター約100人を連ねる豪華キャストでも話題を呼んだ。

 中国建国60周年を記念して09年に公開された「建国大業」と同じ韓三平、黄建新の両監督が手がけている。

 中国各地の駅やバス停でポスターが掲げられ、テレビでも再三宣伝されるなど、中国当局は普及に躍起だ。

 しかし15日の公開直後から空席が目立つ映画館が出る一方、インターネット上では「(俳優が多すぎて)場面の更新が早い」という製作上の不満や「もし(映画に出てくるような)革命精神を学んだなら腐敗した政府にはならなかったはずだ」「現在は(市民の抗議活動を許すほどの)寛容な社会環境は絶対ない」などと現体制への皮肉も書き込まれている。

 一方、中国国営新華社通信は19日、先週インターネット上で最も注目を集めたキーワードが「建党偉業」だったと伝え、市民の関心の高さや優れた内容ぶりを引き続き強調している。
毎日新聞 2011年6月20日 22時36分(最終更新 6月20日 23時22分)

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