2011年10月18日火曜日

ドイツ財務相ショイブレ 抜本的なソブリン債危機対策が示されることはない

10月17日(月)ドイツ財務相ショイブレ

 抜本的なソブリン債危機対策が示されることはないとの見方を示し、市場の過度な期待をけん制

 欧州政府は、5項目から成る危機対策を検討するとしたが、「抜本的な解決策」が打ち出されることはないとの見方を示した。その中には欧州銀の資本増強や民間投資家の損失負担拡大を通じたギリシャ債務削減などが含まれる見通し。


欧州連合(EU)首脳会議


ユーロ圏首脳はギリシャ債務負担の軽減に向け、最大50%の「自発的な」債務元本の減免を受け入れるよう民間投資家の説得を急いでいるほか、銀行の資本増強計画に関する青写真についても合意を目指している。


<金融機関に残された選択肢はわずか>

解決策の1つとして、欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)のレバレッジ活用案が浮上しているが、ドイツをはじめとする北欧諸国が同意するかどうか不透明な情勢。

 EU当局者は、政府が要請する自発的な損失を民間銀行は負担せざるを得ないと指摘している。それ以外には無秩序なデフォルト(債務不履行)しか残された道はなく、そうなれば金融市場の破滅的な混乱と一段の損失負担を余儀なくされるのが確実なためだ。


10月21日(金) 欧州財務相会合

財務相は、域内金融機関に対する投資家の信頼感を回復させるための方策として、3項目を柱とした包括案を検討する見通し。

 具体的には、

域内金融機関に求める狭義の中核的自己資本(コアTier1)の基本最低比率を7月ストレステスト(健全性審査)時の5%から大幅に引き上げる、

2)問題のあるユーロ圏ソブリン債へのエクスポージャーを抱える金融機関を対象に、新たな最低自己資本比率の達成に加え、さらに一時的な資本上乗せを義務付ける、
3)国による保証も含め、十分なターム物資金の確保を求めることが検討される

 独仏銀行大手は、強制的な資本増強に反対する立場を示しているが、

ペクレス仏政府報道官はRMCラジオに対し「フランスの銀行は、健全であっても、資本増強を実施することになる。なぜなら信頼感が欠如しているとともに、懸念が極めて強くかつ緊張が非常に高まった状況にあり、すべての銀行の資本を強化する必要がある」と述べた。

 その上で「欧州全体での協調対応へと向かっている」とし、「「リスクにしっかりと対処できるよう、欧州の全ての銀行に2013年までに9%の自己資本を確保するよう求める」との考えを示した。

 EU当局者はこれまで、銀行に対し3─6カ月以内の資本増強完了を求める可能性に言及しており、ペクレス報道官の発言はそれよりも大幅な時間的猶予を与えた格好となる。

 <英財務相、独財務相に債務危機対策の推進要請へ>

 オズボーン英財務相は17日、この日行う英独財務相会談について、ショイブレ独財務相にユーロ圏債務危機の解決に向けた努力を引き続き求めると述べた。 オズボーン財務相は「カンヌ(G20首脳会議)へのカウントダウンは続いている。ユーロ圏債務危機が解決されれば、世界経済、英国経済にとって最大の成長押し上げ要因になるだろう。その方向に向けた勢いを維持することが、きょうの会談の焦点となる」と述べた。

 <ムーディーズ、フランスの格付け見通し修正を警告>

 ムーディーズは17日、フランスが財政・経済改革を進めることができなければ、同国の格付け見通しを今後3カ月以内に「ネガティブ」に修正する可能性があると明らかにした。 フランスの格付けは「Aaa」。

 格付け見通しの見直しは、金融市場や経済の動向が悪化する可能性も考慮して行うという。

ムーディーズは声明の中で「債務関連指標の悪化や偶発債務がさらに生じる可能性が『安定的』としている格付け見通しを圧迫している」と述べた。

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