(Business Media 誠 - 08月03日 19:20)
原発事故やそれにともなう電力不足、1ドル=80円を超える円高による労働コストの上昇など、日本企業を取り巻く環境は厳しさを増している。こうした状況下、企業の海外進出などで産業の空洞化が進み、国内経済活動が低下することが懸念されている。 【表:海外流出が加速する要因、ほか】
帝国データバンクの調査によると、国内企業に「今後の日本の産業空洞化に対する懸念の有無」を尋ねたところ、「ある」とした企業は76.5%と、「ない」の3.6%を大きく上回った。
「ある」の割合を業種別に見ると「製造」が80.8%と最も高くなっており、地域別ではトヨタ自動車の本社がある「東海」が81.7%と最も高くなっていた。
自地域からの流出先として目立つ国・地域を聞くと、「海外」(35.2%)と「国内」(35.1%)がほぼ同じ割合だった。
具体的な海外の流出先では、「中国」が56.9%と断トツで、「インド」(10.9%)や「韓国」(8.3%)、「台湾」(5.8%)が続いた。
流出先はアジアが中心で、欧米への流出は1.6%にとどまった。
一方、国内の流出先では「近畿」が12.6%と最も多かったが、「九州」が11.7%、「東北」が10.0%、「南関東」が9.7%と上位はそれほど差はなかった。
●海外流出懸念要因、トップは「円高」
海外流出が加速する懸念要因を尋ねると、トップは「円高」で49.2%。以下、「人件費が高いため」が39.5%、「電力などエネルギーの供給問題」が37.9%、「税制(法人税や優遇税制など)」が28.3%、「取引先企業の海外移転」が26.5%で続いた。
個別の声では「輸出産業主体の日本の産業構造からみて、国益維持や企業発展をさせるには円高解消以外に道はない」(工作機械製造、愛知県)、
「円高傾向が落ち着かないことには、どうしても海外流出による国内の空洞化は避けられない。政府の介入が最も求められている時ではないだろうか」(石油化学品製造、山口県)などが寄せられた。
アンケートによる調査で、対象は1万1006社。調査期間は7月19日から31日。
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