【朝日】
佐賀県内の3事業に、九電が計約65億円の寄付を決めていることが分かった。医療施設や学校建設といった公益事業で、県などの要請に応じた寄付だが、九電の寄付額としては突出して多い。
九電との密接な関係が、原発運転再開などを巡る県の判断に影響を与えかねない、と懸念する声が出ている。
九電などによると、3事業への寄付は
(1)2013年開業予定の医療施設・九州国際重粒子線がん治療センター(鳥栖市)に約40億円
(2)10年春開校した早稲田佐賀中学・高校(唐津市)に約20億円
(3)今秋開設される唐津市の市民交流プラザに5億円で、計約65億円。
(1)の約40億円は、九電の1件あたりの寄付としては過去最高額という。支払いはこれからで計画は非公表だが、開業前後の4~5年で分割するとみられる。
九電の寄付全体は、総額を公開している07~09年度の3年で計約38億円。09年度は14億2千万円だった。(1)は年8億~10億円になる計算で、その集中ぶりが際立つ。
(1)は、治療センターを運営する公益財団法人・佐賀国際重粒子線がん治療財団と県が要請した。財団は「事業の推進委員会に九電会長が入っているから協力が得られると考えた」。建設費(約41億円)や初期運営費に充てるという。
(2)は、早大OBらが設立した財団法人・大隈記念教育財団(開校後解散)と県が要請。09年から分割で寄付を受けている。同校は「学校運営には地元との連携が不可欠なため、福岡や佐賀の企業に寄付を依頼した」。
(3)は県と市が要請した。
これらの寄付は、玄海原発3号機でプルサーマル発電が始まった09年から翌10年にかけて決まった。要請した県は「(事業主体の)財団や市の希望を受けた要請で、プルサーマル発電を受け入れた見返りを求めたわけではない」と主張。九電も公式には「見返りではない」と説明するが、役員は「プルサーマル発電への同意もあり、県から頼まれれば断れない」と認める。
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