(日刊スポーツ - 07月12日 10:30)
佐賀県庁に突入後、県職員に行く手を阻まれる山本太郎(中央)
福島第1原発事故後、放射能汚染の危険を訴えている俳優山本太郎(36)が11日、佐賀県庁で行われた反原発デモに参加し、九州電力のやらせメールなどで揺れる玄海原発(佐賀県玄海町)の廃炉化を訴えた。
佐賀は映画のロケや友人が被災地から避難している地。
ネット上でデモの情報を集め、恩に報いたいと仕事先の四国から駆けつけた。
熱い思いは“庁内乱入”に発展し、県庁史上初の大騒動となった。
反原発の熱意を抑えられなかった。山本はしばらく約150人の市民団体メンバーらの動向を見守っていたが、1時間後に自ら拡声器を持った。
「原発はいらない」「子供を守れ」「知事は出てこい」と叫びながらデモ隊を先導して佐賀県庁に乗り込んだ。
だが、県庁職員やガードマンが玄関や通路を封鎖して行く手を阻もうとしたため、1時間ほどもみ合いに。それでも必死に食い下がり、古川康知事に玄海原発再稼働中止の請願書を渡そうとした。
知事が出てこず目的は達せられなかったが、山本は「佐賀に来て、みんなどれだけ追い詰められている状況か分かった。来て良かった。交渉を続ければ、きっと(廃炉の)扉は開かれるはず」と希望を口にした。国のストレステストについて「疑わしい。すぐ稼働させるための単なるアクション」、九電のやらせメール問題を「失望した」とぶった切った。
佐賀は05年に映画「佐賀のがばいばあちゃん」のロケで訪れて以来だが、当時は日本の原風景が残るのどかな町並みに心を洗われたという。
しかも、被災地の宮城から避難してきた友人も住んでいる。
身近な存在だけに、ツイッターでデモ情報を知って仕事先の徳島から恩返しの意味もあり駆けつけた。
「福島の件で原発をコントロールできないことがはっきりした。安全が保証されないのに、(原発を)再稼働してはいけない」と熱っぽく語った。
山本は5月25日にツイッターで反原発発言が原因でドラマを降板になったとコメントし、同27日に事務所を自主退社している。
原発の是非を問う国民投票を訴える団体の呼び掛け人でもあるが、今後も全国各地で反原発デモがあれば参加する意向だ。【菊川光一】